« 404.【番外編】欧州の不良債権問題 | トップページ | 406.【QC02-05】会計基準における不正防止の表現 »

2014年10月 7日 (火曜日)

405.【QC02-04】真実性の原則以外の一般原則(日本基準)の分類・整理

2014/10/7

台風18号はホントに迷惑だった。通勤時間を直撃し、過ぎたら過ぎたで夏が戻ってきたよう暑さを置いて行った。しかし幸いなことに、直撃を受けた割には近所の被害は少なかったようだ(だが浸水被害はあったし、ちょっと東方では崖崩れでJRの線路が埋まった)。みなさんのところはいかがだろうか。

 

こんな台風でも、ちょっと見方を変えると興味が湧く。僕には一つ注目していたことがあった。それは、台風の進路が富士山にまっすぐ向かっていたことだ。果たして、この台風は富士山とガチンコ勝負していくのだろうか。富士山が台風に押し出されることはないだろうが、台風が富士山頂を乗り越えていくことはありえる。そんな大胆な台風をいままで見たことがない。しかし、この台風は大型で強い勢力を保っているので、やってくれるかもしれない。

 

結果は、浜松に上陸する直前に北向きに進路を変えたと思ったら、浜松インターで東名高速に乗ったらしく、今度は東向きに進路を変えた。結局、富士登山コースを南に外れ、駿河湾の北端を渡って箱根を超えた。午前9時前後に僕の真上を通過したようだ。9時過ぎに雲の切れ間から青空が見え、「これが噂に聞く台風の目か」と思った。しかし、そのままたいした雨も降らずに天気が回復してしまった。恐らく、時計の反対周りをしている雨雲が富士山で遮られて、台風の背後が晴れてしまったのだろう。台風でも避ける。雨雲も遮る。富士山は偉大なのだ。

 

会計界において、その富士山のように偉大にそびえたつのが、企業会計原則。と言いたいが、会計ビックバン以降は「改正したいが改正できない」とされ(修正を要する個所が多過ぎるらしい)、ちょっと蔑にされている。しかし、このシリーズの前回(40310/2の記事で)見たように、1949年制定の真実性の原則は、60年のときを超えて見事に2010年の基本的な質的特性に対応していた。改めて読んでみると、凄いのだ。

 

とはいえ、真実性の原則は企業会計原則の第1行目。残りの行はどうなのだろう。特に、我が国会計規準の基本中の基本である残りの一般原則は、今も生きているのだろうか。

 

ということで今回は、真実性の原則の色々な側面を表現したとされる、その他の一般原則を分析の対象としたい。その切り口は“会計面と、統制環境/リスク管理/その他という内部統制面”としてみたい。下表では、関連する企業会計原則注解も、分類・整理の対象にした。

                                                                     
 

 

 

その他の一般原則

 
 

(会計面)

 
 

(内部統制面)

 

統制環境

 
 

 

 

リスク管理

 
 

 

 

その他

 
 

正規の簿記の原則

 
 

 

 
 

不正防止

 

“正確な(会計帳簿)

 

“判断を誤らせない”

 
 

重要性の原則

 
 

正確な会計帳簿の作成

 
 

資本・利益区別の原則

 
 

会計の基本計算理

 
 

 

 
 

 

 
 

 

 
 

明瞭性の原則

 
 

F/Sの表示、注記

 
 

不正防止

 

“判断を誤らせない”

 
 

 

 
 

 

 
 

継続性の原則

 
 

同一事象には同一処理

 
 

不正防止

 

“判断を誤らせない”

 
 

 

 
 

 

 
 

保守主義の原則

 
 

会計上の見積り

 
 

不正防止

 

“歪めない”

 
 

リスクへの備え

 
 

 

 
 

単一性の原則

 
 

複数のF/Sがあっても会計記録は同一

 
 

不正防止

 

“歪めない”

 
 

 

 
 

信頼しうる 会計記録

 

・統制環境の列で“”されているのは、原則や注解で使われている表現(をちょっと短縮したり、意味が明確になるよう足したもの)。

・このほか、後発事象などの具体的項目に関する規定もある。IFRSでは個別規準の扱いなので、分類・整理の対象から外している。

・一般原則の規定や注解をご覧になりたい方は、次のリンクをご覧いただけると良いと思う。

一般原則Wikibooksの企業会計原則)

注解(同注解)

・これらの解説をご覧になりたい方は、このシリーズの前々回(4019/30)にも紹介した下記のHPをどうぞ。

企業会計原則の解説(会計学を学ぼう!)

 

上表は、僕が勝手に作ったものなので、異論・違和感をお持ちの方もいらっしゃると思う。他にもっと良い整理がきっとあるだろうと僕も思う。ただ、どのように整理してもこのような切り口でやれば、内部統制へ分類される原則や注解が多くなるだろう。企業会計原則制定時の事情(=会計の普及・啓蒙の必要性)が影響しているのかもしれない。

 

次回から、この切り口を軸にしながら、IFRSの概念フレームワークの質的特性を中心に比較してみたい。それによって、日本基準の基本にある企業会計原則とIFRSの基本がどのように異なるか、なぜそれが異なるかを考えていきたい。両規準の、枝葉ではない、根本的な違いが見えてくると嬉しい。

 

 

 

さて、前回(40410/5)触れた清水エスパルスのセレッソ大阪戦との残留争いは、とてもラッキーな勝利を挙げることができた。スコアは3-0だが、うち2ゴールは、シュートがデフィンダーに当たってコースが変わったり、キーパー(敵ながら良いキーパーだ)の滅多にないファンブルを押し込んだもので、こんな幸運は連敗中にはなかった。流れの変化を感じるが、みなさんの暖かい応援のお陰があったように思う。選手たちも献身的に運動量をかけて前線からの守備と、素早い攻撃をしており、以前に増して見どころの多いゲームしてくれている。もしよければ、引続き応援をお願いしたい。

« 404.【番外編】欧州の不良債権問題 | トップページ | 406.【QC02-05】会計基準における不正防止の表現 »

IFRSの前提となる内部統制」カテゴリの記事

IFRS全般(適正開示の枠組み、フレームワーク・・・)」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック

« 404.【番外編】欧州の不良債権問題 | トップページ | 406.【QC02-05】会計基準における不正防止の表現 »

2023年6月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  
無料ブログはココログ