« 408.【QC02-07】リスク管理-リスクへの備え(日本の保守主義) | トップページ | 410.【QC02-08】リスク管理ーIFRSの保守主義 »

2014年10月20日 (月曜日)

409.【消費税】税率アップで日本は救われるか?

2014/10/20

円安でも輸出が増えないことが明らかになり、日本経済の日銀見通しは怪しくなってきた。しかし、日銀も政府筋も相変わらず強気だ。12月には、消費税の税率を予定通り 10%に上げるかどうかの意思決定が行われる。これについてロイターの記事を紹介する。7月時点では、4-6月期は4月の消費増税の駆け込み需要の反動で GDP 成長率が落ち込んだものの、7-9月期は回復するとの予想を根拠に消費税率を上げても問題ないとされていた。しかし、7-9月期も厳しいことが明らかになってきた。すると今度は、9月以降の個別の経済指標が上向きかどうかで判断するという。

 

焦点:政府に増税ハードル引き下げ論、民間成長予想の下方修正相次ぐ
 (ロイター
10/16:ロイターの記事はすべて無料)

 

現在予想されるメインシナリオ:

7-9月期 GDP 成長率が期待外れでも増税決定+大型経済対策。

理由   :9月の一部消費データに回復感がみられるから。
      7-9月期が2%台の成長率でも潜在成長率以上だから。

この記事の面白いところ:期待外れの経済指標に対する政府当局者発言の変遷。

 

僕の疑問:

4-6 月期が△7.1%、7-9 月期が2%台の成長率で、2014年が潜在成長率以上になるか?

 大型経済対策こそ税金の無駄遣いでは?

 税率上げて、本当に税収が増える?

 

ということで、疑問①~③について見ていこうと思う。

 

(①について)

 

まず、「日本の潜在成長率って何%?」と思われた方がいらしたと思う。日銀は0.5%と言っている10/17 ロイター。内閣府は2/14付の「潜在成長率について」という資料で 0.8%としている。その資料によれば、IMF 0.8%、民間シンクタンクは0.6%1.3%と推測している。

 

次に、今年の四半期ごとの GDP 成長率(年率換算)を並べてみよう(日経電子版の各種データ)。

 

 2014/1-3期  6.0%

 2014/4-6期 △7.1%

 2014/7-9期  2%
 (参考)
2012/10-12期 △0.5%2013/10-12期 △0.5%

 

2014/1-6の半年を単純に通算すると、△1.1%になる。仮に2014/7-9期を2.5%と置くと、9月までで1.4%しか成長していない。それでも民間シンクタンクの最高値より高いので、「2%台でも潜在成長力以上」と言っているのだろう。しかし、10-12期がマイナス成長になれば、「2014年は潜在成長力以上」といえるか微妙だ。ちなみに、日経電子版のデータでは、2012年、2013年と2年連続で10-12期は0.5%のマイナス成長となっている。今年も、世界株式市場が変調しているように、不安要素があってどうなるか分からない。

 

(②について)

 

日銀の黒田総裁は、3月か4月の時点で「完全雇用を達成している」とか、「需給ギャップはゼロ」などと言っていた(例えば、日経電子版 4/8有料記事)。需給ギャップとは、総需要と総供給の差のこと。例えば、需要不足が生じると景気が悪くなるので、公共事業で需要を増やしてギャップを埋めると GDP が増加する。

 

ところが、需給ギャップがない時に公共事業を追加すると悪影響を及ぼす(クラウディング・アウト)。公共事業を増やすと、その分、民間の需要に供給が追い付かないため、価格の高騰や輸入の増加が起こって、民間の需要が減少したり、輸入品で代替されて国内生産が減少する。

 

3月や4月の頃は、消費税率上昇前の駆け込み需要が発生していたが、今はないので、今は経済全体から見れば需給ギャップが生じているだろう。しかし、「公共事業が消化しきれない」などといわれているので、公共事業の分野では需給ギャップがゼロか、マイナスになっていると思われる。だから、追加の経済対策は、日本の借金が増えることに加えて、経済にもマイナスだ。

 

(③について)

 

この4月の消費税率アップで、本当に税収は増えたのだろうか。「もし、消費税を上げなかったら景気が落ち込まなかったので、もっと税収が増えていた」なんてことになってないだろうか。微妙な感じがする。さらに、消費税率を8%から10%へ上げて大丈夫なのだろうか。不安だ。

 

 

とはいえ、1000兆円を超える借金を返さなければならない。これは本当に大事業だ。消費税率を35%に上げるべきという試算もあるようだ(日経ビジネス 2012/4/13「消費税率35%でも年金は賄えません」)。まったく現実的でない。そもそも、そんな税率にしたら経済がボロボロになるだろう。その現実的でない状況に耐えないと返せない。それだけ、国の財政が非常事態にある。

 

しかし、これは消費税では解決できない。もっと根本的な社会変革を促す政策が必要ではないか。それは何か。アベノミクスの成長戦略のメニューで足りるのだろうか。消費税35%に比べれば、TPP の関税撤廃も、福祉の見直しも、移民の受入さえも現実感がある。細かい消費税率アップに拘泥する間に、もっと大きな議論を期待したい。

 

« 408.【QC02-07】リスク管理-リスクへの備え(日本の保守主義) | トップページ | 410.【QC02-08】リスク管理ーIFRSの保守主義 »

番外編」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/577176/60513373

この記事へのトラックバック一覧です: 409.【消費税】税率アップで日本は救われるか?:

« 408.【QC02-07】リスク管理-リスクへの備え(日本の保守主義) | トップページ | 410.【QC02-08】リスク管理ーIFRSの保守主義 »

2017年3月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
無料ブログはココログ