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2014年11月 6日 (木曜日)

415.【QC02-09】その他の内部統制

2014/11/6

暫くこのシリーズから離れていたが、その理由はご想像の通り「行き詰ったから」だ。その間、米 FOMC(=連邦公開市場委員会)は、QE3(=量的金融緩和第3弾)を終了し、声明で「未活用の労働資源が、徐々に縮小している」と、従来よりタカ派的な見方を公表し世界の投資家を身構えさせた。それは日本時間の10/30日未明のこと。ところが、翌 31日には、みなさんもご存じのとおり日銀が予想外の“黒田バズーガ2”(“KB2”と呼んだらどうだろう?)を炸裂させ、見事に世界の金融市場を躍らせた。日経電子版(11/1 有料記事)では、米市場の様子を次のように伝えている。

 

画面にはたなびく日の丸に「ありがとう」のひらがな。31日の米経済チャンネルは、追加金融緩和と公的年金資産の運用見直しという日本発のニュースを材料に過去最高値を更新した米株式相場を興奮気味に伝え続けた。

 

僕も嬉しい気持ちはあったが、残念でもあった。日銀は、断固として物価安定の目標(=インフレ目標)をやり抜く構えだ。FOMC 委員長でもあるイエレンFRB 議長も、格差問題にまで守備範囲を広げられないのだろう。これらは、それぞれの中央銀行が担った役割を果たすために止むを得ないものではあるが、インフレと実質賃金下落リスクから生活を防衛するには、我々は自ら備えなければならない、ということでもある。企業と同様、個人レベルでも環境変化へ対応が重要だ。確かに、大きなリスクではあるが・・・(ご参考;10/28411 但し、上記のとおり株価は既に上がってしまったので、次の調整局面~例えば、安倍首相が消費税率アップを検討するころなど~を待つという手もある。)

 

そんな、米経済チャンネルの雰囲気とは違うもやもやした気持ちでいたが、それを吹き飛ばしてくれたのが、翌 2日の清水エスパルスだ。試合終了間際の劇的逆転弾を、相手ゴールへ叩き込んでくれた。村田和哉選手、ありがとう。同選手の決勝ゴールは、今季2発目だ。(これを“KG2”と呼んだらどうだろう。“KG”は“和哉ゴール”或いは“決勝ゴール”。“KG3”も“KG4”も期待して!)

 

 

さて、「IFRSと日本基準の根源的な差異はなにか」を調べるために、IFRS概念フレームワークの“有用な財務情報の質的特性”と企業会計原則の一般原則を比較するシリーズは、今回、両者に含まれる内部統制要素の最終回で、検討済みの“統制環境とリスク管理”以外の内部統制だ。

 

まずは40510/7 の記事で企業会計原則の一般原則を整理した表から、今日のテーマに該当する内容を若干詳しく記載してみよう。

           
 

 

 
 

 内部統制面-その他
    (統制活動、情報と伝達、モニタリング、
ITへの対応)

 
 

正規の簿記の原則

 
 

正確な会計帳簿の作成

 

“企業会計は、すべての取引につき、正規の簿記の原則に従って、正確な会計帳簿を作成しなければならない。”

 
 

単一性の原則

 
 

信頼しうる 会計記録

 

“・・・種々の目的のために異なる形式の財務諸表を作成する必要がある場合、それらの内容は、信頼しうる会計記録に基づいて作成されたもの・・・”

 

内部統制と関連すると僕が考えた言葉は、“正確な会計帳簿”とか“信頼しうる会計記録”だ。しかし、こんな簡単な言葉、というか、単語を取上げて、その裏に、統制手続、情報と伝達、モニタリング、IT(情報技術)への対応といった内部統制の構成要素が「実は存在してました」なんて主張しても、虚しい気がする。

 

これが、冒頭に記載した「行き詰ったから」の内容だ。

 

行き詰った時には、スタート地点に戻ってみる。このシリーズは、企業会計原則の一般原則に内部統制的な要素があるかどうかを検討するのではなく、IFRSの概念フレームワークとの違いを検討することにある。そう考えると、概念フレームワークの記述を確認すべきだと気付いた。概念フレームワークに、、統制手続、情報と伝達、モニタリング、IT(情報技術)への対応といった内部統制の構成要素と関連するような記述があるのか。あれば、それが探していた違いになる。

 

そして、その結果は“なし”だった。驚いたことに、企業会計原則の一般原則のような“単語レベル”の記述さえない。その様子をご確認いただくために、“正確”や“信頼”で概念フレームワークの該当箇所(=“第3章:有用な財務情報の質的特性”)を検索した結果をお知らせしよう。

 

検索ワード:“正確”

 

忠実な表現とは、すべての点で正確であることを意味するものではない。誤謬がないとは、その現象の記述に誤謬や脱漏がなく、報告された情報を作成するのに用いられたプロセスが当該プロセスにおける誤謬なしに選択され適用されたことを意味する。この文脈においては、誤謬がないことはすべての点で完全に正確であることを意味しない。例えば、観察不能な価格又は価値の見積りは、正確であるとも不正確であるとも判断できない。しかし、その見積りの表現は、その金額が見積りであるものとして明確かつ正確に記述され、その見積りのプロセスの内容と限界が説明され、その見積りを作成するための適切なプロセスの選択と適用の際に誤謬が生じていない場合には、忠実となり得る。QC15

 

検索ワード:“信頼”

 

検索されない。

 

“会計帳簿”とか、“会計記録”といった内部統制と会計の連結環になるような単語もない。ん~、IFRSは企業会計原則に比べても、内部統制色が薄いのだろうか?

 

恐らく、そういうことではないと思う。このようになった理由は、10/9406 の記事「会計基準における不正防止の表現」にも記載したように、企業会計原則は“行為を規定する”方法で、概念フレームワークは“情報を規定する”方法で記述されているためだと思われる。仮に違うとしても、そもそも企業会計原則の記述も内部統制色が濃いとは言えないので、僅かな濃度の差にしかならないと思う。

 

 

ということで、内部統制に関してはたいした分析にならずに終了することになる。しかし、それでは物足りないという方のために、せめてもの償いとして、最近ネットで読んだ気になる記事を紹介して終えたい。内部統制を、リスク低減だけでなく収益獲得のためにも鍛えるという「GRC」の導入例について記載している。最終頁には次のように記載されている。

 

GRCは日本では全くと言っていいほど流行っていないが、「欧米の大手企業は、当たり前のように導入している。アジアでもASEAN地域を中心に、脚光を浴びつつある。主要国で、いまだに動きが鈍いのは日本だけではないか」

 

目指すは「守りながら攻める」内部統制! 東京海上日動システムズ3年間の挑戦10/23 ITpro

 

要は、2004年に新しく COSO から公表された"Enterprise Risk Management - Integrated Framework"(「全社的リスクマネジメントのフレームワーク」)を採り入れましょう、ということだと思う。この概要については、次の資料の6ページ、7ページにまとめられている。

 

COSOレポートの概要等について(金融庁検査局 専門検査官 窪寺信氏)

 

 

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