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2014年11月26日 (水曜日)

417.【投資】中国の予想外の利下げ~その1

2014/11/26

どうも、先月の日銀・黒田バズーカ第2弾以来、予想外が流行っているようだ。長野の地震のような自然災害はそうならざるを得ないが、GDP7-9がマイナス成長だとか、消費税率アップの延期と衆院解散だとか、人為的なものでも、予想外が続いている。その中で僕が一番注目したのは、中国の中央銀行である中国人民銀行による銀行の貸出と預金の基準金利の引き下げだ(11/22 日経無料記事)。

 

なぜなら、GDPや消費税延期は、日経平均でいえば数百円から2~3千円の話だが、中国で問題になっているシャドーバンキングが経済危機に発展すれば、日経平均が1万円を切るまで下落しても不思議ないと恐れているからだ。日欧米の株価はこのニュースに好感して高値を重ねているが、これは悪い知らせではないのか。良い知らせなのか。

 

僕は漠然と、中国の経済危機は不可避のイメージを持っている。世間にはもっと具体的に、次のような見方があるらしい。

 

A.中国には経済をコントロールする手段も能力もある。よって、安定成長へ軟着陸可能。

 

B.何れ経済危機は来るが、まだそのときではない。

 

C.経済危機はもう始まりつつある。

 

A派は、中国の地方政府や民間の債務が、絶対額は大きいもののGDP比ではまだ余裕があるという認識を持っているようだ。恐らく、次のような数字を根拠にしていると思われる。(以下、円は直近為替レートで換算。ちなみに中国のGDPは、2013年で約 1,126兆円、2014年は10月時点のIMF推計で約 1,237兆円)

 

信託融資等の残高のGDP比(2013/3のIMF推計値)      4割(460兆円)

シャドーバンキング全体のGDP (シンクタンク等の推計の最大値)6割(約690兆円)

国と地方政府の債務残高のGDP比(2013/6の中国当局公表値)   4割(約400兆円)

 

なるほど、政府総債務残高でGDPの2倍を超えるという日本に比べれば、全然軽い。「これの一体何が問題なのか?」と思われる方も多いだろう。ちょっと古いが「コラム:中国で金融危機が起きない理由=カレツキー氏」(ロイター 2/26)が代表的な意見だと思う。特に、最後の「中国の金融システムにリーマンショックのような危機が起きると賭けるなら、3.5兆ドルを用意しておくべきだろう。」に自信のほどがうかがえる(3.5兆ドルとは中国の外貨準備高のことで、400兆円ぐらい)。そして今のところ、同氏の想定内で状況が動いているように感じられる。

 

また、米国のサブプライム危機では、多くの住宅購入者がローンを支払えず自宅から追い出された。一方、中国では住宅購入時に多額の頭金が必要(1軒目は30%、2軒目は6070)なため、住宅購入者の債務負担は軽いとされている(MUFGの経済マンスリー2014/6P13の最下行。ただ、MUFGがA派なわけではない)。これも、中国経済が危機に至らないと主張する重要な根拠となっている。

 

しかし、こういう数字を拾ってきても、その相互関係はよく分からない。企業の財務諸表でいえば、負債の一部項目と売上総利益だけで、財務の健全性を測るようなのものだ。本当に重要なのは、資産の中身だ。テレビ・ニュースなどで一時期よく流された“鬼城”(=不動産投資の過熱によりゴーストタウン化した街を指す表現)の映像は強烈だった。国や住宅購入者は良くても、“鬼城”所有者の財務状況はどうなのか。むろん、健全ではあるまい。これが中国経済全体にどのような影響を及ぼすかを評価することが重要ではないか。

 

実は、中国のシャドーバンキング問題とは、中国の高度成長を安定成長へ軟着陸させるために発生する諸問題の一側面に過ぎない。もっと本質的・象徴的な数字は、(既にご認識の方も多いと思うが)GDP内訳項目の構成比にある。日本などの先進国、いや、同じような新興国に比べても極端に、住宅投資などの固定資産投資が多く、民間消費支出の割合が少ない(例えば、BRICs辞典)。企業でいえば、どんどん固定資産残高が膨らんでいる状態、即ち、B/Sがどんどん膨張している状況だ。それゆえ、資産の中身が問題なのだ。そこにB/S全体を揺るがすような多額の減損が生じていないのか?

 

実は、A派として紹介したカレツキー氏も、よく読むと“当面の”A派であり、状況次第でB派へ鞍替えする余地を残した書き方をしている。ただ、C派ではない。僕も、C派であれば、すぐに投資を引上げ現金化するだろう。でもまだ続けているということは、B派なのだと思う。すると、いつ、経済危機が始まるのか、そのタイミングが問題だ。

 

このように考えてくると、中国人民銀行による金利の引き下げは、まるで、減損損失を隠したい経営者が減損会計の割引率の引下げて、資産の使用価値を過大に見積ろうとするように見えなくもない。もしかしたら中国経済は、危機への歩みを一歩進めたのではないか。

 

ということで、この記事には続編がある。そのタイミングを検討したいのだ。少なくとも、「当面は大丈夫なのかどうか」を確認したい。しかし、次回は元の企業会計原則のシリーズに戻るつもりだ。というのは、暫くお休みさせてもらって再開した途端にこんな記事では、ブログの趣旨が変わったと疑われてしまう。あくまで、このブログはIFRSのブログだ。今回は、中国人民銀行による利下げが予想外であったことに反応したに過ぎない。この点は、ご安心戴きたい。

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