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2014年12月20日 (土曜日)

425.【番外編】“中国監査”の途中経過

2014/12/20

3332/25 [中国監査、何が起こってる?]の記事で、Big4と呼ばれる米国大手監査法人が、米SECの判事に「中国部門による米国上場企業の監査業務を半年間禁止する」判決を受けたと記載した。この件について、久しぶりに WSJ に続報が載ったので紹介したい。

 

12/16 米4大会計事務所とSEC、中国監査めぐる和解協議に進展

(これは有料記事だが、なぜかログインしなくても、今(12/19)、僕は全文を読むことができる。もしかしたら、WSJ の購読契約をしていない方も、今なら読めるかもしれない。)

 

このタイトルには“進展”とあるので「状況が変わったのでは」と期待を持たせるが、ポイントは次の3点。

 

・SECとBig4は、和解に向けた協議をしている。

・3回目の控訴審弁論の延期が決まり、来年2月26日へ先送りされた。

・延期は今回が最後と見込まれている。

 

というわけで、僕の能力では何が“進展”なのか、そしてこれからどうなるのか、この記事では分からない。「中国では、監査調書は“国家機密”に当たるので、検査のためであってもSECへ提出できない」という監査法人側の主張は、果たして認められるのだろうか。

 

 

と、これだけでは寂しいのでもう少し突っ込んでみよう。

 

“控訴審弁論”についてだが、控訴審は第2審以降の審理のこと、弁論はその最初に行われるもののようなので、どうも次のような状況らしい。

 

・すでに第1審は終了している。

 

恐らく、SECの判事が上記の判決を下しているので、それが第1審ということだと思われる。

 

・どうやら第2審は始まっておらず、その前に和解協議をしている。

 

今回が最後の延期だとすれば、和解は来年2月26日までに行われる。もし、それまでに和解できなければ、そこから第2審が始まる。

 

和解の内容についての情報は全くない。どうやら、WSJ がこの記事のタイトルで“進展”としたのは、和解の内容が固まってきたという意味ではなく、“最後の延期と見込まれる”、即ち、“結論が出る時期が固まった”ことを指すのかもしれない。

 

和解協議が続いているということは、白・黒はっきりした結果ではない結論が出される可能性がある。即ち、Big4は非を認めるが、“監査業務の半年禁止”は多くの上場企業に及びあまりにも影響が大きいので、それに代わる何らかの代償を支払う、例えば、金銭的な解決を図ることが考えられる。

 

但し、過去についてそのような合意ができたとしても、今後も引続き監査調書が提出されない状況が続くことは、SECは容認しないのではないか。例えば、最近も Bloomberg には次のような記事が載せられている。SECにとっては、中国企業や米国企業の中国子会社のガバナンスの難しさから生じる不正や開示のリスクは、決して見過ごせないはずだ。中国監査を監督できないなどということは、受け入れられないだろう。

 

12/10 米ウォルマートの中国部門で利益水増しと未承諾販売慣行(無料記事)

 

一方、監査法人側は「それなら中国当局とSECで直接交渉してくれ」と言うしかない。中国の法律を監査法人が変えることはできない。

 

もし、中国監査をBig4の中国部門(=Big4それぞれに属する中国法で設立された監査法人)に任せないで、Big4が自ら直接監査を行うことで“監査調書の国家機密化”を回避できるなら、SECはそれを求めるかもしれない(或いは、監査コストを考慮して、日本などの米PCAOBの検査を受入れる周辺国の監査法人へ中国監査を委託する可能性もある)。Big4にとっては、手塩にかけて育ててきた中国部門の経営に壊滅的打撃を食らうことになるので受け入れがたいと思うが、もはや監査人を犬としか見ていないSEC(3652013/5/27 [米国のIFRS停滞に変化の兆し? SEC 委員長ホワイト氏のスピーチ]の末尾)は容赦しないだろう。といっても、これはまったくの想像にすぎない。

 

う~ん、突っ込んでも全然霧は晴れない。ただ、日本にも似たような問題・悩みはあるはずで、関係者の関心は高いはず。僕も興味津々なので、引続き注目していきたい。

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