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2015年1月 9日 (金曜日)

430.【番外編】遅ればせながら、新年のご挨拶~表現の自由

2015/1/9

みなさんもご存じのとおり、7日、パリにある風刺週刊紙シャルリー・エブドの編集部が銃撃され、風刺画家 4名を含む12名が殺された。昨年末には、映画「ザ・インタビュー」を巡ってソニー・ピクチャーズエンタテイメント(=SPE)がサイバー攻撃され、私的なメールや未公開の映画などがネット上に暴露されたり、この映画を公開しないよう脅しを受けた。いずれも、“表現の自由”を脅かすものとしてマスコミに大々的に取上げられ、“表現の自由”を守る熱心な市民運動にも発展しているようだ。

 

SPE は、6日、映画「ザ・インタビュー」のオンライン、ケーブル、および衛星通信による配信収入が、すでに3100万ドル(約36億7700万円)を突破したことを公表した。この他、映画館での興行収入が500万ドルあるという。(1/7 Reuters) テレビ・ニュースでも、「表現の自由を守るために見に来た」と言って映画館へ向かう観客の姿が報道されていた。ちなみに製作費は約4400万ドル(約53億円)(12/8 Bloomberg)で、このままの調子なら元は取れそうだ。

 

一方、シャルリー・エブドに関しては、早速その夜、追悼集会が開かれフランス国内だけで10万人以上が参加したという(1/8 AFP)。平均発行部数は3万部(1/7 朝日新聞DIGITAL)というから、熱心な購読者でない一般の人々も参加していたのだろう。またオランド大統領は銃撃が行われた現場に駆けつけたうえに、「表現の自由への攻撃」と激しく非難したという(同上)。

 

“表現の自由”が、いかに大事にされているかが分かる。

 

“表現”といえば“忠実な表現”、“自由”といえば“経理自由の原則”を思い浮かべてしまう僕は、「会計で同じような位置づけにあるものはなんだろうか?」と考えてしまった。(ちなみに、前者はIFRSの概念フレームワークで、2つある“有用な財務情報の基本的な質的特性”の1つ、後者は企業会計原則の底流にある、“真実性の原則”の一側面ともいえる考え方。) そして思った。会計もこれぐらい大切にされたらいいのに。

 

 

“表現の自由”は、多様な意見を持つ一般市民の合意形成を図る民主主義において、なくてはならない当然の権利だ。まず、一般市民が判断材料とする情報に“表現の自由”がなければならない。第二次大戦中の大本営発表みたいなウソの情報を与えられるのでは正しい判断ができない。多様な視点からの情報提供が必要だ。次に、一般市民が自らの意見を自由に披露できなければならない。そうでなければ合意形成は進まない。

 

この“一般市民”のところに“一般投資家”を強引に当てはめると、一般投資家が投資の判断材料とする財務情報が会計に関連する。しかし、財務情報の“表現の自由”は限られている。会計原則などによって開示情報は、かなり細かく規定されているからだ。上述の経理自由の原則はあっても、会計処理や表示方法の選択は会計原則の範囲内のみ許容される。ん~、これでは話が広がらない。

 

では、この“一般市民”のところに“会計原則のユーザー”と入れたらどうだろうか。会計原則を開発したり修正したりする過程で、会計原則のユーザーが情報を入手し、それに対する意見を披露しあい、合意形成していく。こちらの方が、しっくりくる。民主主義の過程と会計原則開発の過程は、結構、似ている。というか、会計原則の開発手続は、民主主義がベースにあるようだ。

 

例えば、IFRSを開発するプロセスは、IASBを監督するIFRS財団評議会が設定し、IASBへ課している。IASBはIFRS諮問会議やIFRS財団評議会と連携しながら審議事項を決定し、ディスカッション・ペーパーや公開草案で一般ユーザーの意見を募集し、基準書発効後には適用後レビューを行う。またIASBはこれらの他にも、情報提供や意見募集の機会を設定している(例えば、2010/10協議のプロセス IFRS開発への幅広い参加の促進JICPAのHP)。

 

ただ、残念なことにIASBの情報発信は英語だ。そして、もう一つ重要なことは、民主主義のような“マス・メディア”が限られている。マス・メディアは、一般市民の側に立って民主主義における権力をチェックするという重要な機能を担っているが、会計基準に関する報道は限られているし、専門的な内容を提供してくれるところもまだまだ少ないように思う。日本におけるIFRSの情報は、十分とは言えないと思う。

 

もし、このブログがそういう機能の一部を果たせればよいのだが、僕の能力では難しい。が、多少の貢献はしたい。

 

冒頭の風刺週刊紙シャルリー・エブドは、権力行使の矯正・適正化を目指し、或いは、民主主義による権力配分の適正化を目指し、フランス伝統のキツイ表現で物議を醸しながら、文字通り命がけの貢献をした。このブログでさえ匿名で書いている僕には到底真似できないことだ。でも、僕は僕なりの方法でやって行こうと思う。会計も、資本市場や、事業における適切な資源配分をサポートする重要なツールだ。そこに、少しだけでも貢献したい。

 

というわけで、本年もよろしくお願いします。

 

 

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