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2015年3月 5日 (木曜日)

448.【リース'15/2】日本基準との相違

2015/3/5

小冊子といえども、英語を読むのは苦労する。ああ、何と日本語の便利なことか。今更だが、多くのIFRSに日本語訳のあることに感謝したい。しかし、この小冊子「Definition of a Lease (February 2015)」を読みながら、もう一つ気付いたことがある。それは、英語をつっかえつっかえ、色んなことを考えながら読むので、気付きも多いような気がすることだ。そして、パズルを埋めるような満足感もある。でも、とにかく効率が悪い。

 

愚痴と恍惚が混じった混乱した書き出しだが、これが偽らざる心境だ。そのなかで、一つ確実なことがある。思っていたより時間がかかりそうだ。したがって、短い記事がたくさんできることになるだろう。内容が乏しい割に記事の数が多くなって、みなさんには申し訳ないと思う。或いは、いつも長文に辟易していて、むしろ、歓迎されるかもしれない。

 

今さらだが、日本基準とIFRSの新基準の関係について一つ気付いたことがある。この小冊子によると、リースの定義やガイダンスの実質的な内容に変更は殆どないが、表現をより分かりやすく修正したところはあるという。既にみなさんはお気付きのことかもしれないが、僕は、その修正した箇所を読んで、これに気が付いた。日本のリース基準をご存じの方が、IFRSの新基準を理解するときに役立つと思うので、紹介させていただきたい。

 

 

日本のリース基準は、資産計上処理するか、費用処理するかを区分するために、ファイナンス・リースか、オペレーティング・リースかで判断する。それを分けるのは、次の2つの要件だ(リース適用指針5)。

 

・解約不能

・フルペイアウト(経済的利益の享受とコスト負担)

 

しかし、これだけでは抽象的なので、具体的に次のような方法で判定する。いずれかに該当していれば、ファイナンス・リースとして資産計上処理の対象となる(リース適用指針9)。

 

・現在価値基準

解約不能期間のリース料総額の現在価値が、現金購入額の概ね90%以上であること。

 

・経済的耐用年数基準

解約不能のリース期間が経済的耐用年数の概ね75%以上であること。但し、現在価値基準が90%を大きく下回ることが明らかな場合を除く。

 

どちらの場合も、“リース料総額の現在価値90%基準”が重要な判断基準になることがお分かりいただけると思う。これは、日本基準が固定資産の購入取引との類似性に着目して、資産計上するファイナンス・リースを拾い上げようとしているからだ。

 

一方、IFRSの新基準は、購入取引との類似性ではなく、固定資産の使用状況の類似性にフォーカスしている。即ち、自己所有の固定資産と同じように使用しているリース契約の資産があれば、自己所有の固定資産と同じように資産計上しようというわけだ(但し、短期のもの、少額のものを除く)。

 

その結果、どのような相違が生じるかというと、IFRSの新基準の場合は、資産計上の対象となる資産を識別する際に、日本基準で大活躍の“リース料総額の現在価値90%基準”が役立たなくなる。

 

・リース期間が耐用年数よりずっと短くても、使用状況によっては資産計上の対象になりえる。リース期間が短くてもよいので、リース料総額の現在価値を現金購入額と比較することの意味がなくなる。

 

・メンテナンス・リースのようにリース契約にサービスを含む場合は、原則として、サービス対価相当部分を除いて資産計上する(但し、重要性は考慮される)。その結果、サービス対価相当部分を含むリース料総額には意味がなくなる。

 

では、IFRSの新基準では、どのような使用状況の場合に、資産計上の対象になるだろうか。それは、リース契約の顧客が、契約資産の独占的使用権と使用の指図権を持つ状況だ。これらはリース期間における“経済的利益享受とコスト負担”と表裏一体の関係であり、そのリース期間は資産の耐用年数との関係は遮断されているものの、リース期間を決める際に、日本基準の“解約不能”と似た仮定がある。

 

 

以上を要約すると、次のようになる。

 

IFRSの新基準は、リース契約の契約資産の使用状況にフォーカスしてリースを識別する。その結果、日本基準に比べ、耐用年数とリース期間の関係は遮断され、リース契約にサービスを含む場合はサービスが除外され、現在価値基準は役立たなくなり、より多くのリース契約が資産計上される。しかし、リース期間において、その資産に関するほとんどの“経済的利益の享受とコスト負担”をしている場合に資産計上しようという趣旨は、引続き日本基準と変わっていない。要は、リース期間の考え方と、サービスを除外するところに、注目すると良い。

 

なんとなく、リースの本質に近付けた気がする。次回は、IASBが '13ED に寄せられたコメントにどのように対応したかを見ていく。上記を押さえておけば、理解しやすいと思う。

 

 

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