« 2015年2月 | トップページ | 2015年4月 »

2015年3月

2015年3月31日 (火曜日)

456.【リース'15/2】'13EDからの変化~設例)外注取引と通信契約(ファブレス企業はファブレス)

2015/3/31

新生サッカー日本代表は、チュニジア相手に2-0の勝利。幸先の良いスタートとなった。攻撃には競争心を煽り、守備には球際の厳しさを求め、試合後の選手には暖かい気配りを見せる新監督。今日のウズベキスタン戦も楽しみだ。

 

IASBスタッフが先月公表したリース新基準の小冊子のシリーズは、いよいよ今日が最後。6つの設例のうち、5と6が今回の範囲だ。今までの設例1~4は、すべてリースが契約の中に含まれていた。そうなると、残り2つぐらいは、サービス契約と判定すべき設例となることが予想される。

 

このブログで '13ED(=2013/5公表の公開草案)を特集したとき、グレーな疑問として残っていたのが「外注取引にリースの要素があるかどうか」だった1。例えば、アップル社のようなファブレス企業が、フォックスコン社のような EMS 企業へ iPhone などを製造委託する際、フォックスコン社のその工場はアップル社のための工場となるが、これをアップル社はこれをリースと考えるべきか、という問題だ。

 

どうやら、今回の設例5によれば、大方の外注取引(=典型的な、通常の外注取引)はサービス契約ということに落ち着きそうだ。IASBは「ファブレス企業はその実態もファブレス」と判断しているようだ。そして残りの設例6は通信会社とのネットワーク契約であり、'13ED の光ファイバー使用契約の設例と同様、これもサービス契約とされている。

 

では、詳しく見ていこう。

 

 

(設例5:Outsourcing agreement

 

まず、契約の内容を見てみよう。

 

おもちゃ会社は、ある製造会社と、特定の種類と数量の人形を3年間に渡って購入することを契約した。その結果、製造会社は、唯一の工場の通常の生産能力をすべてこのおもちゃ会社のために使用することになる。

 

これに対してIASB(スタッフ?)は次のような見方をしている。

 

製造会社が工場の使用方法をコントロールしている。即ち、顧客(=おもちゃ会社)は使用を支配していない。

 

例えば、この製造会社は、生産能力を超える受注を取って、超過稼働時間分をその生産へ当てると決めることができる。

 

仮に、製造会社に10社の顧客と10倍の受注があり、このおもちゃ会社がその1つに過ぎない場合と比べても、このおもちゃ会社が工場の使用方法を決定する権利が大きくなるわけではない。

 

したがって、この契約はサービスであって、リース基準の対象範囲外。

 

さて、この設例は役に立つか。ん~。「唯一の工場の通常生産能力のすべてを3年間使用する」という条件設定には興味をそそられたが、「生産能力の10分の1でしかない場合と(顧客の)権利は変わらない」というのはありだろうか? もちろん、設例なのでどんな条件設定もありではあるが、現実にありえるだろうか…

 

いや、そういう読み方をするべきではない。恐らく、IASB(スタッフ)の趣旨としては、外注業者にとって経営の基盤を揺るがすほどの重大契約であっても、期限付きで、かつ、その他に特別な条件がない一般的な外注取引あれば、それだけで顧客が相手(の工場)を支配することにはならない、と言いたかったに違いない。

 

逆にいえば、上記を条件を外れるような契約、例えば次のような契約であれば、別の問題が生じる可能性がある、注意した方が良い、ということを示唆しているのかもしれない。

 

期限なくずっと生産能力を支配するような契約であれば、恐らく、関連当事者とか、連結などの問題に絡むかもしれない。

 

おもちゃ会社が、通常より大きな権利を持つケース、例えば、おもちゃ会社が製造会社の工場使用方法を制限するような契約(期間中、他の顧客のために工場を使用できないとか)であれば、製造会社に工場使用の支配がないため、リースの要素を識別する可能性があるかもしれない。

 

この契約を製造会社が履行するための設備投資におもちゃ会社側がリスク負担をするような契約、例えば、期間後に設備を買上げるとか、何らかの補償をするなら、最初からおもちゃ会社の投資と考えるとか、その補償額の引当をすべきではないか、など。

 

 

(設例6:Telecommunications contract

 

契約内容は次の通り。

 

貿易会社が、2年間のネットワーク契約を通信会社と締結した。その契約は一定の通信品質レベルを保証するもので、そのためのメンテナンス、機器の調整や入替は、必要に応じて通信会社が行う。

 

まあ、'13ED の設例のような「物理的な光ファイバー回線を賃借するようなイメージ2」を想起させるものであれば、「う~む、どっちかな?」と興味が湧くが、この設例はサービスに決まっている。議論の余地がないではないか。そう思ってしまうが、もう少し深く考えると、「なるほど」と思えてくる。

 

それは、ネットワークの入り口が、この契約の顧客である貿易会社の社内に入り込んでいることだ。少なくとも、入り込んだ部分に関しては顧客専用の設備になる。即ち、特定の設備(やソフトウェア)が顧客によって独占使用される。そこがこの契約にリースの要素が含まれる可能性がある部分だ。

 

これについて、IASB(スタッフ)は、次のような趣旨のことを書いている。

 

貿易会社は、構内に設備(やソフトウェア)があっても、どのようにネットワーク・サービスを使うかを決められない(=契約の範囲内で使うしかない)。その設備は通信会社によって再設定されたり入替えられたりして、通信会社がいかに使うか、何の目的で使うかを決定する(=通信会社が契約に定められた回線品質を維持するために使用方法を決定する)。

 

要するに、構内にある設備等についても、使用の支配は通信会社側にあるとしている。したがって、この契約にリースの要素はない。

 

貿易会社がネットワーク・サービスを受けるには、物理的に自社構内に占有している設備等はサービスに不可欠な一部であり、かつ、通信会社に支配されているため、それだけを取出してリースとして識別する必要はない。契約全体からその部分が果たす役割を俯瞰する目も必要ということのようだ。

 

もちろん、そういった設備、ルーター等を顧客が購入することが前提のサービスであれば、購入資産は、当然、顧客の資産になる。では、ルーター等をレンタルすることが前提のサービスだったらどうだろうか。

 

資産を購入する場合、資産の使用価値と処分価値(転用を含む)の両方を購入者が保有する。このような資産の持ち方は、リース会計の範囲外で、通常の資産の取得の会計処理を行えばよい。一方、契約期間後に返却することを前提としているレンタル契約の場合、契約の顧客は使用価値のみを消費し、処分価値は契約の提供者のものとなる。このような資産の持ち方は、リース会計がカバーすべき範囲だ。そして、新リース会計では、使用の支配が契約の提供者側にある場合は、その契約はリースではない。

 

したがって、この契約全体を俯瞰してみて、このレンタル契約は通信サービス契約の一部であり、機器等の設定や調整も通信会社が行う、即ち、使用の支配を通信社が行うとすれば、このレンタル契約はリースではない、と結論されるだろう。形式より実態重視だとすれば、きっと、こうなると思う。

 

 

最後に、期待されてない方が多いと思うが、一応、先週のチュニジア戦を見て、僕が思ったことを記しておきたい。

 

・球際に厳しく前から激しい守備をすれば、若手メンバーでも危ない場面を作られない。

・相手の足が止まる頃に主力メンバーを投入すると、面白いように攻撃できる。

・でも、この戦法は、3人しか交代が認められないW杯では難しい。

・よって、90分(場合によっては120分)、最後まで相手より勝る体力を養うしかない。

 

実はこれ、清水エスパルスと全く同じ方向性だ。この冬場、エスパルスの大榎監督は、自ら“エスパルス陸上部”と称するほど基礎体力強化を行った。エスパルスはまだメンタル面の課題を克服できないためか、結果を出せていないが、実は、日本代表は以前からこれで結果を出している。例えば、2013/11 欧州遠征のオランダ戦(2-2/引分け)やベルギー戦(3-2/逆転勝ち)、もっと前の 2012/10 のフランス戦(1-0)も素晴らしかった(その直後のブラジル戦は0-4と全く通じず)。もう実証済みの、非常に有効な戦法なのだ(但し、ブラジル以外)。

 

しかし、ブラジルW杯では、厳しい守備もなければ90分戦える体力もなかったようだ。問題は、体力作りは代表チームではできないこと。各選手が、所属するクラブ・チームの練習及び自主練習でやるしかない。

 

そこでハリルホジッチ監督は、各選手ごとに個別の練習メニューを作り、所属チームに戻っても続けるよう指示したらしい3。これは凄い。代表監督が所属クラブの練習に手を突っ込む越権行為かもしれないが、代表チームの指揮者としては、実に理に適っている。これは、従来の代表監督の枠を超えること、一種のイノベーションではないかと思う。

 

体力作りは、成果を得るまでに時間がかかる。だから、今日のウズベキスタン戦の結果の如何に関わらず、僕はハリルホジッチ監督に期待したい。そしてその期待には、すでに同じ方向を向いているエスパルスの選手たちにも目が向くだろうという希望が含まれている。

 

そして、長友選手のけがの回復とインテルでの活躍、さらに代表復帰を願っている。

―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―

1 284.【リースED】リース取引の識別のまとめ~庸車取引、外注加工取引」2013/9/4

 

2 274.【リースED】対象資産の物理的な区別2013/8/1

 

3 これもハリル式!個別宿題メニューで国内組を改造2015/3/28 YAHOO!ニュース

 

2015年3月26日 (木曜日)

455.【リース'15/2】'13EDからの変化~設例)冷蔵トラックとオイル・タンカー(“重要性”について再考)

2015/3/26

今回は、IASBスタッフがこの小冊子で示した6つの設例のうち、3番目“冷蔵トラックに関する4年間のオペレーティング・リース契約”と4番目“オイルタンカーに関する20年間の運航サービス付リース契約”の設例を考えてみる。いずれも、対象資産のメンテナンス・サービスが契約に含まれている。さらに4番目の設例には、タンカーの運航サービスまで含まれている。即ち、契約の提供者がタンカーを運行する。

 

まずは、冷蔵トラックについて考えてみよう。

 

現行の日本基準で考えれば、この契約の顧客は、冷蔵トラックのリースはメンテナンス費用相当額を控除した残額について、ファイナンスリースかどうかを判定し、ファイナンスリースであれば、資産計上することになるだろう(メンテナンス費用相当額に重要性がない場合はそれも資産計上できる1)。これは、概ね、今度のIFRSの新リース基準でも変わらない。

 

ただ、日本基準との違いを探すとすれば、2点考えられる。

 

1.日本基準では、“リース料総額の現在価値90%基準”が満たされない場合は、ファイナンス・リースと判定されない2が、IFRSの新基準ではこのような数値基準による判定は不要。契約内容で判断する。

 

2.IFRSの新基準では、この契約の顧客がその気になれば、メンテナンス費用相当額の重要性に関係なく、契約全体を資産計上する方法を選択できる(“重要性”については後述)。

 

さて、問題はオイル・タンカーのケースだ。基本的には冷蔵トラックのケースと同じだが、オイル・タンカーの場合は、もう一つ厄介な条件がある。

 

確かにこの契約の顧客(=荷主)は、20年間特定のタンカーを独占使用でき、かつ、タンカーを使用する時期や航路、目的地を独自に決められる。しかし、タンカーの運航をこの契約の提供者(=船主)に頼らなければならない。例えば、荷主が勝手に船員を雇って船を動かすことはできない。使用の目的や方法は荷主が決められるが、この船を具体的に使用するのは船主だ。

 

これでも、この契約期間中、タンカーはこの契約の顧客(=荷主)のものだろうか(=荷主側が資産計上すべきか)。それとも、タンカーは船主のもので、荷主は単に石油の運搬サービスを受けているだけだろうか。言い換えれば、この契約は資産のリース契約なのだろうか、それとも、サービス契約なのだろうか?

 

僕のこの問い掛けに、みなさんは「ナンセンス! 契約全体がリースかサービスか、なんて関係ない。リースの要素があれば抜き出して資産計上するのが新基準だ」と思われるかもしれない。確かにその通りだ。しかし、レッシー(=契約の顧客)は、リース部分を抜き出すことを省略し、契約全体をリースとして扱うことが認められているから、これに拘りたくなる。契約の中のサービス部分が重要と考えられたとしても、契約全体をリースとして扱うことが可能なのだ。

 

ということで、検討課題は2つ見えてきた。1つは、この状況で“使用を支配”しているといえるかどうか。もう一つは、“重要性”の問題だ。サービス部分に重要性があっても、それを含めてリースとして扱うことが容認されていることだ。

 

・“使用の支配”について

 

運航を船主に依存することついてこの小冊子は、「これは従業員による業務上の意思決定のようだ」といっている。そして、この従業員による意思決定は「その会社の取締役会の戦略的決定に従っている」という。これは従業員を船主に、取締役会を荷主に喩えている。

 

要するに、船の運航上の意思決定を船主が行ったとしても、それは荷主の意思決定を実現するために、付随して行われる実務上の意思決定に過ぎず、荷主の“使用の支配”を侵すものではない、ということだろう。

 

・“重要性”について

 

くどいが、もう一度復習してみよう。原則は、タンカー本体の賃貸料に相当する部分のみが資産計上の対象となる。そして、メンテナンスと運航費用部分は、原則として費用処理だ。しかしそれらは原則であって、もし、この契約の顧客が簡便な方法を選択すれば、契約全体を一括してタンカー賃貸料として資産計上することが容認されている。

 

そう、なんと、メンテナンスや運航の費用をも資産計上する処理が認められている。

 

僕は、4523/19 の記事のタイトルに「契約におけるリース構成部分の区分(重要性)」と付け、(日本基準と同様に)契約に含まれるサービス部分に重要性がない場合のみ、契約を一括してリースとして扱えるかのように記載した。しかし、実は、このIASBスタッフが公表した新基準の小冊子には、明示的に“重要性”の条件は付いていない。では、本当に“重要性”は考慮されなくてよいのだろうか?

 

この小冊子に記載されてなくても、僕は、“重要性”は考慮される(べき)と思う。

 

というのは、サービス部分も含めて資産計上すると、リースに関連する資産(及びそれに対応する負債)が、その分多額となり、会計上次のような効果が考えられるからだ。

 

 資産(・負債)の過大計上により、B/S上の実態が歪められる。例えば、資本回転率などの経営の効率性を示す指標が本来の姿より悪化する。

 

 一方で、P/Lへの効果はほとんどない(費用計上額はあまり変わらない)。

 

 将来、減損となった時には、より多額の減損損失を計上するリスクを負ってしまう。

 

要するに、リースを会計処理する際には、サービス部分も含めてリースとして扱うことで見積りの手間が省け楽になるが、その分、ディメリットを負うことになる。恐らく企業は、このディメリットが大きくならない程度に楽をする、即ち、結局、ここで(自発的に)重要性を考慮することになると思う。また、そうすべきではないかと思う。

―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―

1 リース取引に関する会計基準の適用指針」の第25項。(リンク先はASBJのHP。)

 

 

2 このブログの 4483/5 の記事を参照。

2015年3月24日 (火曜日)

454.【リース'15/2】'13EDからの変化~設例)ショッピングセンターと空港施設

2015/3/24

昨日は「良く寝られる」と書いたが、それでもその睡眠を妨げるのは、まずは英語、そして次にエスパルスの戦績だ。これらは、かなりストレスになる。英語については、「何度も見てる単語なのに、意味を思い出せない」とか、「単語は知ってるのに、この文章の中では意味が分からない」といったフラストレーションが原因になる。エスパルスの戦績については…、止めておこう。今日も早く寝られるように、とっとと、英語に向き合うことにしよう。

 

さて今回は、いよいよ設例に入る。4452/26の記事に記載したように設例は全部で6つあるが、1つ目と2つ目の設例はどうやら対になっているようで、ショッピングセンターと空港施設内のそれぞれテナント契約がテーマになっている。一方はリースを含むとされ、もう一方はサービス契約であると結論されている。さて、2つともテナント契約なのだが、どこが違うのだろうか。

 

(ショッピングセンターのテナント契約)

 

テナント(=契約の顧客)は、4513/17の記事に記載した“使用の支配”の要件を満たしており、この契約にはリースの要素が含まれている、とされている。具体的には、この契約ではテナントは次のような権利があることになっている。

 

・契約期間にわたり、そのスペースの独占使用権を持つ。

 

・そのスペースをどのように使用するか決定権を持つ。例えば…

 

・店舗か、倉庫か、或いは、その両方として使うか。

・どんな品揃えをするか。

・営業時間をどう設定するか(ショッピングセンターの営業時間の範囲で)

 

なるほど、このテナントは、まるでサッカーの監督がサッカーチームを支配するように対象資産(=特定のスペース)を支配している。サッカーの監督も、一定期間、一定のサッカー選手を独占的に所属下に置くことができ、どの試合へ出場させ、どのポジションを任せるかを決められる。

 

(空港施設のテナント契約)

 

空港施設の運営者(≒契約の提供者、不動産会社)は、4493/10の記事に記載した“入替権”を持っているため、この契約にはリースの要素が含まれない。即ち、サービス契約だ。具体的には、この契約には、次のような特徴がある。

 

・テナント(=コーヒーショップ)は、特定のスペースの独占使用権を持っていない。即ち、“特定のスペース”(=“特定の資産”)が契約に定まっていない。

 

・契約上、スペースのサイズは決められているけれども、コーヒーショップをどこに配置するか、及び、その変更は空港の運営者が決められる。

 

ん~、やはり、これだとその賃貸料の支払予定額を資産計上するイメージは湧いてこない。契約に場所が特定されていないと、モノという具体的なものではなく、サービスという抽象的なものが取引されている感じがする。

 

ここで注意すべきは、この設例は「ショッピングセンターならリースで、空港施設内であればサービス」と言ってるわけではないことだ。ショッピングセンターでも、契約内容によってはサービスと判定されることがあるだろうし、空港施設内の契約でリースと判定されるケースもあるだろう。

 

重要なのは、契約の中で“使用の支配”と“入替権”(或いは“資産の特定”)の状況がどうなっているかだ。これらの状況によって、契約の顧客が、一定期間、特定の資産を、まるで自分のものであるかのように使用できる状況があるかどうかを感じ取ることが重要だ。

 

 

以上で、今回の記事で予定した内容は終了だ。今夜はもう英語を読まなくてよい。これで、眠ることができる。但し、エスパルスのことを思い出さなければの話だ。直近のリーグ戦では、昇格したばかりのチームに零封されてホーム・ゲームを落としたが、また、昨季のように厳しい残留争いに引きづり込まれるのではないかと不安が膨らんている。

 

しかし、上記に照らして考えてみれば、エスパルスは僕の資産ではない。当然だが、僕は全く支配などしていないのだから、単に、サッカーの試合というサービスを受けているに過ぎない。そんな、我がことのように心配する必要は、本来は、ないのだ。もっと、鷹揚に構えていればよい。

 

例えば、空港施設のコーヒーショップは、「はい、こっち」と言われたら、その場所で開店すれば良い。同じように、エスパルスも「はい、J2」と言われたら、J2の試合を見ればよい? ん~、それは受入れ難い。やはり心配だ。

 

 

 

2015年3月23日 (月曜日)

453.【番外編】春眠、いや、鉄眠暁を覚えず?

2015/3/23

新しい日本代表がいよいよ発表された。チュニジア戦(3/27)やウズベキスタン戦(3/31)への期待が膨らむ一方で、またしても清水エスパルスからは代表が選ばれなかった。バックアップ選手もいない。失望感の中に沈んでしまい、増々、不眠症(もどき)がひどくなりそうだ。

 

しかし、実際は全く違っていて、最近よく眠れる。なぜだろう。春だから…?

 

 

ちょうど半年前の 2014/9/23 に、次の記事を書いた。これには、WSJ の記事から、「米国では睡眠時間は8時間必要と考えられていて、良く眠れると仕事に創造性が増すため、統計上、睡眠時間が1時間増えるごとに給料が16%も増える」というようなことが書いてある。

 

399.【番外編】秋の夜長、眠れてますか?

 

WSJ の記事を真に受けた僕は、スマホのアプリ“Sleep Time”で自分の睡眠時間を計測することにした。いきなり長時間寝ようとしても、眠れないものは眠れない。だから、まず、現状把握、実態把握から始めようとしたわけだ。このアプリは、最近のスマホが内蔵している加速度センサーによって、就寝中の体の動きを感知して、寝相から睡眠を計測するものらしい。そのため、アプリの画面でスイッチを入れたら、スマホを枕元に置いて寝るだけだ。

 

実はこのアプリ、それほど正確に睡眠を計測できるものではない。無理もない。この加速度センサーは、歩数計アプリにも利用されているが、歩数の計測も完全に正確ではない。恐らく、寝相を測るのは、歩数よりもっと難しいだろう。そのため僕は、毎朝目覚めたら、このアプリの計測結果画面を見ながら、自分で補正しながら、何回目が覚めたかと、浅い眠り、深い眠り(夢を見ている時間を含む)の時間を、Excelへ記録することを日課としている。

 

その結果分かったことは、想像していたよりは、よく寝ているということだった。自分で思ったほど寝られてないわけではなかった。これで結構安心した。でも、目標の8時間には遙かに届かない。計測しはじめてから、1/13 朝までの94晩の平均睡眠時間は6.0時間だった。恐らく、計測を始める前より睡眠時間は増えている。なぜなら、日中、以前よりスッキリしたように思うからだ。

 

「よしよし、この調子で…」と思っていた矢先に、次の記事を読んだ。

 

不眠症の本質は「睡眠時間の誤認」である (日経電子版 1/13

 

このコラムによれば、不眠症患者の大部分は実際より睡眠時間を短く感じているのだという。「なら良いではないか。不眠は勘違いなんだから」と思われるかもしれないが、そうではないという。それでも、日中の倦怠感などがあるのだから、やはり、問題だと。確かに、まだ熟睡感が得られる朝はほとんどない。

 

この記事を読んで、「もっと睡眠時間を増やす努力をしなくては」と思ったが、この日から 2/25 朝までの43晩の平均睡眠時間は、若干減少して5.9時間。そして、2/25 の「ためしてガッテン」は、次のテーマだった。

 

健康あしたから劇的快眠SPNHKのHP)

 

どうやら、鉄分が不足すると睡眠不足になるケースがあるようだ。しかし、これは以前から知っていたので、機会があればほうれん草やひじきなどを意識して食べるようにしていた。ただ、精々、週に2~3回だった。それでは足りないかもしれないと思って、この2週間ほどは、毎朝、ほうれん草をかなりたくさん1食べるようにした。

 

2/26 から 3/8 朝までの10晩の平均睡眠時間 6.0時間(以前と変わらない)

 

その後、3/22 朝までの15晩の平均睡眠時間 6.8時間(直近7晩だと7.2時間)

 

直近2週間の平均睡眠時間の増加は、ほぼそのまま、深い眠り(夢を見ている時間を含む)の時間が増加している。

 

さすがに、最近は、朝の熟睡感も改善している。夜も早く眠くなるし、朝も、Sleep Time に起こされるようになった(以前は、Sleep Time のアラームが鳴る前に起床してた)。「え~、もう朝?」という感じで起きることもある。エスパルスのことを心配する間がない。それに Sleep Time は、遅い限界の時間に設定しているので、朝がちょっとせわしなくなった。

 

 

さて、これは春だからか。それとも鉄のおかげか。どちらにしても良いことだとは思うが、今度は、起きている時間が短くなり過ぎるような気がして、これ以上睡眠時間を長くして良いものか、心配になっている。

 

―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―

1 ほうれん草を1~2房、生のまま、ドレッシングで食べている。

2015年3月19日 (木曜日)

452.【リース'15/2】'13EDからの変化~契約におけるリース構成部分の区分(重要性)

2015/3/19

IASBスタッフは、リースの新基準について今月も新しいペーパーを公表した(3/16)。それは、「Leases: Practical implications of the new Leases Standard」(IASBのHP)だ。前回のペーパーは、今このブログで扱っているリースの定義とそのガイダンスに関するものだが、今度の新しいペーパーは、IASBとFASB(=米財務会計審議会)のリース会計モデルの概要とその差を示して、新しい規準がもたらす可能性がある影響(の一部)をみなさんにお知らせしようというものらしい。

 

ん~、これも是非扱ってみたいテーマではあるが、問題は“英語”だ。今、19ページの小冊子をこんなに苦労しているのに、今月の新しい 26ページの英文をやれるだろうか。それに、いよいよ先週から、IFRS15号「顧客との契約から生じる収益」も、日本語版がオープンになった。僕は、IFRS財団へ年会費を払っているため、これにアクセスできる(但し、ASBJのHPでは1月から購入可能だった)。こちらも早く見てみたい。

 

ということで、今月のペーパーをどうするかは追々決めていきたいが、早く内容を知りたいし、英語にも自信のあるという方は、上記リンクをご覧いただきたい。

 

 

それでは、今回のテーマへ入ろう。

 

このシリーズの前回までで、“リースの定義”、“入替権”、“使用の支配”の 2013年公開草案(='13ED)からの変更点を眺めてきた。IASBとしては、いずれについても「内容に実質的な変更はないが、より分かりやすい記述表現に変更した」と説明している。今回はどうか。

 

今回も「'13ED にも含まれていた」としているが、どうやら、“リースの定義”、“入替権”、“使用の支配”とはちょっと勝手が違うようだ。というのは、今回は記述の“追加”であり、しかも、それが“重要性”を明示的に容認する内容になっている。

 

では、変更内容について記載する。

 

ある契約がリースがあるかどうかは、リースの定義や入替権、使用の支配に関する状況を検討して決められる。その際、一つの契約の中にリースとサービスの両方が混合している場合は、その契約からリースのみを取出して、リース会計を適用するとされている(リースを取出す方法は、リース部分が別の契約で単独で取引されている場合はその単価、そうでない場合はそれを見積って、支払リース料をリースへ配分する)。ここまでは、'13ED も、今回のペーパーも同じ流れだ。違うのは、「レッシー(契約の顧客側、賃借人側)は、契約全体をリースとして会計処理できる」という趣旨の規定が加えられたことだ。

 

僕の印象では、“重要性”は概念フレームワークでは規定されているものの、個別の規準では直接触れられていなかったように思う(これは、日本基準とは異なるところ)。IASBとしても、重要性は各社の状況に照らして個別に判断されるものであって、会計基準で一律に規定するものではないと考えているし、一般的にも、会計基準で一々触れられていなくても、当然に存在するものという認識があると思う。しかし、リースの新基準ではそれを敢えて書き込むという。しかも、賃借人側の、リースとサービスを区分するという項目に限って。これはどういうことだろうか。賃貸人側は、そして、他の項目では重要性を考えてはいけないということだろうか。

 

このペーパーでは、これを追加する理由について「基準の適用を簡単にする」としか説明していない。もう少し具体的には次の通り。

 

・リースとサービスの区分に関する見積りを簡単にする。(⇒適用すれば見積りが不要になる)

・IFRS15号の取引単価の配分に関する要求事項とより整合させる。

 

そして、もう一つ、気になる記述に気が付いた。それは、この変更がレッシー(契約の顧客側、賃借人側)の要望への対応とされていることだ。恐らく、「これができない」と心配するレッシーがそれなりの人数だったのだ。なぜだろう? もしかしたら、「基準に書いてないことはダメ」みたいな解釈をする人がいることを心配したのかもしれない。(もしかして、監査人?) 『「基準に書いてないことはダメ」みたいな解釈』こそ、ダメだと思う。

 

 

2015年3月17日 (火曜日)

451.【リース'15/2】'13EDからの変化~使用の支配(control the use)

2015/3/17

日本代表監督はヴァヒド・ハリルホジッチ氏に決まった。僕は「本田と香川のスタメン落ちもありえる」という記事1を読んで、「ハリルホジッチ氏が入替権を持っている。したがって、ここにリースの要素はない」と思った。恐らく、このニュースにこんな感想を持ったのは日本で僕一人だろう。

 

このシリーズの前回(4493/10)は、実質的な入替権が契約の提供者側にあれば、その契約はリースではないとされていた。サッカー日本代表とそれを応援するサポーターの間の(暗黙の)契約は、サッカー日本代表(日本サッカー協会、ハリルホジッチ氏)が契約の提供者であり、サポーターがこの契約の顧客だ。入替権を提供者サイドであるハリルホジッチ氏が完全に行使する~多くのサポーターが期待しているであろうスター選手の活躍を考慮せずに~ということは、同氏の自信の表れだ。同氏は、「サポーターは待っていればよい。そうすれば私が勝利で満足させる」と考えているに違いない。この事業の目的、即ち、外国の代表チームに勝つことの主体は完全に提供者側にあり、顧客に提供されるのはサービスであってリースではない。

 

どうすればこの(暗黙の)契約にリースの要素が入り込めるだろうか。それは、提供者側が入替権を持たないということなので、少なくとも、日本代表のメンバー選出にサポーターが関与できる仕組みが必要だ。例えば、プロ野球のオールスター・ゲームのように、サポーターの投票で代表選手が決まるような仕組みだ。

 

では、プロ野球のオールスター・ゲームはリースだろうか。いや違う、まだ足りない。今回は、その足りないところ、“使用の支配”について、2013年公開草案(='13ED)からの変更を記載して行く。但し、IASB(のスタッフ)は、これについても「分かりやすいように表現は変わったが、内容に実質的な変更はない」としている。

 

 

では、まず、'13ED の記述を振返ってみよう。恐らく、12項がそうだと思う(残念ながら、この小冊子「Definition of a Lease (February 2015)」には、変更元がどこか示されていない)。

 

契約は、当該契約の期間全体を通じて、顧客が次の両方を行う能力を有する場合には、特定された資産の使用を支配する権利を移転する。

 

(a) 特定された資産の使用を指図する能力(第13 項から第17 項に記述)

 

(b) 特定された資産の使用により便益を得る能力(第18 項から第19 項に記述)

 

これがどのように変わるかというと、次のようになる(日本語訳は拙者の拙訳。原文は2を参照)。

 

リースは、顧客が特定の資産の使用を一定期間支配するとき存在する。特定資産の使用を支配するとは、①その資産を独占的に使用し、かつ、②使用を指図することをいう。

 

 契約期間にわたりその資産の使用から得られる経済的利益のほとんどすべてを獲得できる権利を持つなら、顧客は独占的使用権を持つことになる。

 

 契約期間にわたりその資産の使用方法や使用目的を変更できるなら、顧客は資産の使用を指図することになる(例えば、賃借された小売用のスペースの使用目的を決めたり、賃借した船舶の運航経路や運航時期を決めることができる)。

顧客はまた、その資産の利用方法や配置を決められるなら、資産の使用を指図することになる。

 

なるほど、“便益を得る能力”に“独占的使用”を加え、“使用の指図”に具体的な指図の例を加えたようだ。

 

これはいってみれば、サポーターがベンチ入りメンバーや先発メンバーを決め、メンバー交代とその時期も決め、さらにはフォーメーションや個々の選手のポジションまでをも決めるようなものだ。恐らく、試合中にリアル・タイムでサポーターの投票を集計し、一定レベルに達したら、ベンチに交代が指示されるようなシステムが必要だ。

 

そして、実質的に監督は不要になる(練習のためのコーチは必要だろうが)。或いは、監督がサポーターの手足になる。使用を支配するとはこういうことなのだ。プロ野球のオール・スター・ゲームでも、ここまではやらない。確かに、ここまで支配されているなら、顧客のB/Sに資産計上することも納得できる。

 

 

但し、“勝利”という目的を考えると、サポーターがここまで支配して良いか疑問だ。一方、サッカー協会としては、サポーター一人ひとりに「日本代表は俺のチームだ!(=俺の資産だ)」というぐらい思い入れを持ってもらいたいだろう。そうするためには、日本代表を支配する監督をサポーターに選ばせることが一つの方法かもしれない。しかし、それも現実的ではない。きっと、チェルシー監督のモウリーニョ氏やバイエルン監督のグアルディオラ氏などに人気が集まってしまう。きっと、年棒が高過ぎる。

 

やはり、サッカー協会としては、ハリルホジッチ氏を「俺たちの監督だ!」と親しみを持ってもらえるよう、サポーターへ売込む必要がある。だがそこに一つ問題がある。まだ、ハリルホジッチ氏が率いる日本代表の呼称が決まっていない。“アギーレ・ジャパン”のような呼びやすい名称が必要だ。“ハリルホジッチ・ジャパン”では長過ぎる。

 

既にネットでは、略して“ハリル・ジャパン”とか、英語風に“ハリー・ジャパン”とか、ファースト・ネームから“ヴァヒド・ジャパン”なども候補に上がっている。その他、“ハリルホジッチ”からの連想で“鼻ほじるジャパン”とか、「どうせすぐに“能無しジャパン”と呼ばれる」などといったシニカルな意見まで、実に賑やかだ。早く決めないとあらぬ方向へ行きかねない。

 

僕のお奨めは“バン・ジャパン”。“バン”は、ハリルホジッチ氏の出身地であるボスニアの中世の総督3のこと。規律重視で攻撃的サッカーの監督としては似合いだと思う。

―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―

1 本田と香川「スタメン落ち」あり得る 「鬼監督」ハリルホジッチは容赦ないJCASTニュース 3/15

 

2 P9

A lease exists when the customer controls the use of an identified asset for a period of time. To control the use of an asset, a customer both has exclusive use of the asset; and  directs the use of the asset.

 

A customer has exclusive use of an asset if it has the right to obtain substantially all of the economic benefits that result from using the asset during the contractual term.

 

A customer directs the use of an asset if it has the ability to change how and for what purpose the asset is used during the contractual term (for example, the ability to decide what the space in a leased retail unit is used for, or to decide where and when a leased ship sails).

A customer also directs the use of an asset if it determines how the asset is operated or designed.

 

3 Wikipedia のボスニア参照。

2015年3月12日 (木曜日)

450.【番外編】3.11の鳩山外交

2015/3/12

昨日は、東日本大震災から4年目の 3/11 を迎えた。日差しは暖かいのに寒風吹き荒ぶという調子っぱずれの一日だった。窓から眺める景色と実際の気候が違い過ぎる。室内にいると春だが、野外に出ると真冬の寒さだった。4年前も寒かった。東北では雪がチラつき、夜は零下まで下がった。津波を生き延びたのに、寒さで亡くなった方がかなり多かったらしい。気候の変動が激しくなっている昨今、地震列島に住む我々には他人事ではない。

 

そんななか、鳩山由紀夫元首相は、外務省の制止を振り切ってクリミアを訪問した。ロシアのクリミア編入について、住民の気持ちを直接確かめたかったらしい13/10 3/12 の予定というから、この人にとっては、東日本大震災の悲劇から学んだり、復興への努力を見つめ直したりすることより、一周年を迎えるロシアの暴挙を正当化することの方が大事だったのだ。まったく意味が分からない2

 

なぜ民主党はこういう人物を代表に据えたのか。そして、なぜ僕は、あの 2009年の総選挙で鳩山氏が代表を務めていた民主党へ投票してしまったのか。本当に後悔が絶えない。

 

しかし、覆水盆に返らず。鳩山氏が日本の首相だったことも、4年前に大災害が起こったことも、取消すことはできない。できることは、そこから教訓を得て将来の糧とすることだけだ。とりあえず、原発問題を含め、東北の復興と政治に関心を持ち続けることだろう。2015年度で終了する“集中復興期間”をどう総括し、次へつなげていくかを、有権者として見守ることだ。恐らくは、土木工事を延々と続けることより、生きがい、やりがいを見つけ出せるような住民の自発的なチャレンジを応援する方が良いと思う。

 

“コンクリートから人へ” これは、2009年の総選挙で民主党がマニフェストに掲げたスローガンだが、決して悪いアイディアではないと思う。同じ金を使うなら、稼ぎの場を含めた生活再建と教育に役立つ政策へ比重を高めていくことを期待したい。

 

だがその前に、国会には「鳩山氏との絶縁」決議をお願いしたい。鳩山氏が個人として何をやっても自由だが、日本としては一切関知しないこと、鳩山氏が、影にも日向にもそういう役割を担うことは決してないことを、有権者に代わって全世界へ宣言してほしい。

 

・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・

1 鳩山由紀夫元首相「クリミア見てみたい。外交をやるのは外務省だけではない」The Huffington Post 3/10 

 

 

2 当局の監視下、しかもたった3日間の日程で、住民の気持ちの調査などできるわけがないと僕は思う。では何のために行ったのか? まさに「ラッスンゴレライ説明してね いや、ちょと待ってちょと待ってお兄さんラッスンゴレライってなんですの? 説明しろと言われても意味わからんからできませ~ん」な感じだ。 

2015年3月10日 (火曜日)

449.【リース'15/2】'13EDからの変化~定義、入替権

2015/3/10

Jリーグ開幕。唯一、日曜に開催された清水エスパルスと鹿島アントラーズの開幕戦は、ホームの清水の快勝となった。意外にも、鹿島は清水とのアウエー戦に分が悪く、この5年間に1勝4敗と大きく負け越していたそうだ1。そういえば、このブログでも、以前、この両者の試合を取上げたことがあったが、そのときもホームの清水が劇的な逆転勝利を収めた2(そのときも、リース('13ED2013/5 の公開草案)のシリーズ中だった)。

 

さて、今回は、リースの定義に関連して、IASBが当時の'13ED から変更を仮決定した事項について見ていこう。結論としては、定義それ自体は変更しないが、それを説明するガイダンスについては、コメント提出者の意見を汲み取り、いくつか改善をした。

 

 

(リースの定義を変更しなかった理由)

 

'13ED のIASBの提案について、概ね、賛意を得たようだ。但し、IASBの意図をもっと分かりやすく表現してほしいと注文をもらったり、さらには少数だが代替案も寄せられたらしい。これらに対してIASBは(定義は変えないが)、ガイダンスについていくつかの改善をしたという。

 

定義を変更しなかった理由は、変更するとより不雑化になることが懸念されたことと、もっと重要なのは資産計上されないリースが出てくる可能性があったことだという。どうやら、コメント提出者によって提案された代替案の一部は、リースの範囲を狭くするものであったらしい(油田掘削装置や船が、除外される例として挙げられていた)。その他の代替案についてもIASBは次のように判断し、'13ED の定義を変更しなかった。

 

・リース契約へ良からぬ変更を誘発する代替案。例えば、リース契約にサービスを追加することでリースへの分類を免れてしまえるような代替案。

・IFRS15(収益認識)と矛盾するガイダンスや手続の追加によって、より複雑になってしまう代替案。

・その他、好ましからざる結果となってしまう代替案。

 

なお、変更しなかったリースの定義の具体的な文章については、3/3 447 の記事をご覧いただきたい。

 

 

(IASBが変更を仮決定したガイダンス)

 

・入替権('13ED.9)のガイダンスの変更


'13ED.8項では、対象資産の入替権を契約の供給者が持つ場合は、リースではなくサービスへ分類されるとされており、どのような場合にその入替権があると判断されるか、即ち、「供給者が実質的な入替権(=substantive right to substitute the asset)を持つとはどういうことか」について '13ED.9項で説明がされている3。今回、実質的な内容の変更はしないが、この '13ED.9項をより分かりやすいガイダンスへ改善するという。

 

'13ED.9)次の2つの要件を挙げていた。

 

(a) 供給者が、顧客の同意なしに資産の入替ができること。

 

(b) 供給者の入替権に“経済的障害がない”(=no economic barriers)こと。

 

これについて、「どういうものが“経済的な障害”に当たるのか」に関する説明が不十分だったとされている。この点を、「提供者が入替から得られる利益」に焦点を当てて、改善するという。その結果、従来の表現に代えて、次のようなガイダンスが仮決定されている。

 

(今回)提供者の入替権が実質的であるのは、次の両方を満たす場合。

 

(a) 提供者が入替える実際の能力を持っていること。

 

(b) 提供者が入替から利益を享受できること。

 

さらに、「顧客が、実質的かどうかを決められない場合は、実質的でないと推定する」(その結果、リースへ分類される)というガイダンスを追加するとしている。

 

さて、みなさんにとって分かりやすい文章へ改善されただろうか。もし、'13ED が、どのようなものを入替権のある契約と考えていたかについて関心を持たれた場合は、前回のシリーズの記事4が参考になるかもしれない。鉄道車両の例が挙げられていた。

 

僕の第一印象は、「実質的な内容の変更はないと言いつつ、実はリースの範囲は広がったのかもしれない」だった。しかし、シンプルになった。これは大きな改善だと思う。多分、判断はやりやすくなったに違いない。

 

というのは、顧客の同意は関係なくなったし、入替が供給者に有利に働くかどうかを見れば良いことになったからだ。供給者が自発的に入替を希望する可能性があれば、供給者は入替から利益を享受すると判断されるだろう。これなら、形式的に「顧客の同意が必要」と契約書に記載があっても、安易にサービスと判断されることはなくなる。最後の推定規定も役立ちそうだ。僕はこの変更には肯定的な印象だ。

 

 

ところで、サッカー選手の移籍を“完全移籍”とか“レンタル移籍(又はリース)”と表現することがある。どうやら、所有権を移籍元のチームが保有しつつ、実際は移籍先のチームで活動することを“レンタル移籍(又はリース)”と呼ぶらしい。では、サッカー選手に“レンタル”と“リース”の違いがあるのだろうか。例えば、“レンタル”はサービスなので、移籍先の資産にはならないが、“リース”なら、移籍先の資産という具合に5

 

今回の“入替権”でこの問題を解決できるだろうか。例えば、サッカー選手の価値や用途は個々の能力に完全に依存する非常に個性の強いものだ。したがって、同じポジションの選手だからといって入替はできない。供給元に入替を行える実際の能力はないはずだ。ということは、サッカー選手の移籍契約には、“レンタル”は存在せず、すべてリースということになる。

 

これは、不動産の賃貸に似ている。個性が強く同じ物件など存在しないから、入替権はないと考えるのが一般的ではないか。すると、不動産賃貸も、原則として、すべてリースとして資産計上するのか。

 

ん~、そうではあるまい。この問題は次回見る予定の“使用の管理”(=control the use of an asset)に関するガイダンスで判断することになる。

 

―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・

1 J11節予想スタメン 清水vs鹿島】タイトル奪還に燃える鹿島、苦手とするアウェイ清水戦で勝ち点3獲得なるか」(SoccerKING 3/6)の最後の文章。

 

2 282.【リースED】リース期間とサッカーの試合時間」(2013/8/29)の最後の方。

 

3 2013ED.89 など

 

リース資産は特定の資産に対する使用権であるため、その対象資産は特定されていなければならない。しかし、提供者側に入替権があり、契約期間中に入替えられるとすると、特定は不可能だ。提供者が顧客の意思や都合に関係なく他の(同種の)資産と取り換えてしまうからだ。したがって、入替権を提供者が持つ場合は、リースではなくサービスへ分類される。

 

ただ、このとき、入替えるのにペナルティがあるとか、製造ラインに組込まれており入替えるのに多くのコストがかかるなど実質的に入替ができない状況(=経済的障害があるケース)も考えられる。その場合は実質面を考慮し、“実質的な入替権”がないと判断しリースへ分類されることになる。このように、'13ED では、“実質的な入替権”があるためには、“経済的障害がない”ことが条件とされていた。

 

4 273.【リースED】供給者の入替権 (2013/7/31)

 

5 これは、例え話であって、実際のサッカークラブの会計処理には関係がない。(移籍金は資産計上するが、)選手自体を資産計上することはないからだ。したがって、レンタルとリースの区別は行う意味がない。

2015年3月 5日 (木曜日)

448.【リース'15/2】日本基準との相違

2015/3/5

小冊子といえども、英語を読むのは苦労する。ああ、何と日本語の便利なことか。今更だが、多くのIFRSに日本語訳のあることに感謝したい。しかし、この小冊子「Definition of a Lease (February 2015)」を読みながら、もう一つ気付いたことがある。それは、英語をつっかえつっかえ、色んなことを考えながら読むので、気付きも多いような気がすることだ。そして、パズルを埋めるような満足感もある。でも、とにかく効率が悪い。

 

愚痴と恍惚が混じった混乱した書き出しだが、これが偽らざる心境だ。そのなかで、一つ確実なことがある。思っていたより時間がかかりそうだ。したがって、短い記事がたくさんできることになるだろう。内容が乏しい割に記事の数が多くなって、みなさんには申し訳ないと思う。或いは、いつも長文に辟易していて、むしろ、歓迎されるかもしれない。

 

今さらだが、日本基準とIFRSの新基準の関係について一つ気付いたことがある。この小冊子によると、リースの定義やガイダンスの実質的な内容に変更は殆どないが、表現をより分かりやすく修正したところはあるという。既にみなさんはお気付きのことかもしれないが、僕は、その修正した箇所を読んで、これに気が付いた。日本のリース基準をご存じの方が、IFRSの新基準を理解するときに役立つと思うので、紹介させていただきたい。

 

 

日本のリース基準は、資産計上処理するか、費用処理するかを区分するために、ファイナンス・リースか、オペレーティング・リースかで判断する。それを分けるのは、次の2つの要件だ(リース適用指針5)。

 

・解約不能

・フルペイアウト(経済的利益の享受とコスト負担)

 

しかし、これだけでは抽象的なので、具体的に次のような方法で判定する。いずれかに該当していれば、ファイナンス・リースとして資産計上処理の対象となる(リース適用指針9)。

 

・現在価値基準

解約不能期間のリース料総額の現在価値が、現金購入額の概ね90%以上であること。

 

・経済的耐用年数基準

解約不能のリース期間が経済的耐用年数の概ね75%以上であること。但し、現在価値基準が90%を大きく下回ることが明らかな場合を除く。

 

どちらの場合も、“リース料総額の現在価値90%基準”が重要な判断基準になることがお分かりいただけると思う。これは、日本基準が固定資産の購入取引との類似性に着目して、資産計上するファイナンス・リースを拾い上げようとしているからだ。

 

一方、IFRSの新基準は、購入取引との類似性ではなく、固定資産の使用状況の類似性にフォーカスしている。即ち、自己所有の固定資産と同じように使用しているリース契約の資産があれば、自己所有の固定資産と同じように資産計上しようというわけだ(但し、短期のもの、少額のものを除く)。

 

その結果、どのような相違が生じるかというと、IFRSの新基準の場合は、資産計上の対象となる資産を識別する際に、日本基準で大活躍の“リース料総額の現在価値90%基準”が役立たなくなる。

 

・リース期間が耐用年数よりずっと短くても、使用状況によっては資産計上の対象になりえる。リース期間が短くてもよいので、リース料総額の現在価値を現金購入額と比較することの意味がなくなる。

 

・メンテナンス・リースのようにリース契約にサービスを含む場合は、原則として、サービス対価相当部分を除いて資産計上する(但し、重要性は考慮される)。その結果、サービス対価相当部分を含むリース料総額には意味がなくなる。

 

では、IFRSの新基準では、どのような使用状況の場合に、資産計上の対象になるだろうか。それは、リース契約の顧客が、契約資産の独占的使用権と使用の指図権を持つ状況だ。これらはリース期間における“経済的利益享受とコスト負担”と表裏一体の関係であり、そのリース期間は資産の耐用年数との関係は遮断されているものの、リース期間を決める際に、日本基準の“解約不能”と似た仮定がある。

 

 

以上を要約すると、次のようになる。

 

IFRSの新基準は、リース契約の契約資産の使用状況にフォーカスしてリースを識別する。その結果、日本基準に比べ、耐用年数とリース期間の関係は遮断され、リース契約にサービスを含む場合はサービスが除外され、現在価値基準は役立たなくなり、より多くのリース契約が資産計上される。しかし、リース期間において、その資産に関するほとんどの“経済的利益の享受とコスト負担”をしている場合に資産計上しようという趣旨は、引続き日本基準と変わっていない。要は、リース期間の考え方と、サービスを除外するところに、注目すると良い。

 

なんとなく、リースの本質に近付けた気がする。次回は、IASBが '13ED に寄せられたコメントにどのように対応したかを見ていく。上記を押さえておけば、理解しやすいと思う。

 

 

2015年3月 3日 (火曜日)

447.【リース'15/2】リースの定義

2015/3/3

春めいて、いよいよ、今週末からはJリーグも再開する。しかし、そんな時に、みなさんも既にご存じのとおり、中国人民銀行が利下げを発表した1。ん~、中国の経済状況は気になる。利下げに違和感があるわけではないが、大方のアナリストの予想よりタイミングが早いようだ。中国当局が、経済の不調をより深刻に感じている可能性がある。

 

そういえば、日本で爆買いする中国人観光客を評して、中国共産党の機関紙とされる「環球時報が、「国家が内需低迷に直面しているときに日本に買い物に押し寄せる中国人観光客が誇れるものではないことは明らかだ」と苦言を呈した」という報道があったから2、中国の経済状況に危機意識を持っている共産党幹部がいることは事実だし、そういう主張に共感する相当数の国民もいるのだ。やはり、経済危機の“X デー”は近いのだろうか。いや、まだだろう。というのは・・・

 

 

という雑念を振り払って、今回は、このシリーズの前回(4452/26)紹介した「Leases: Definition of a Lease」(IASBスタッフが作成した英文の小冊子)のリースの定義を見ていきたい。前回、自ら注意喚起したように、細かいことに拘らず、リースとサービスを区分するイメージをつかめるようにしていきたい。例によって、日本語訳はいい加減なのでご注意いただきたい。あくまで便宜のためのものであり、正確さの保証はできない。

 

(リースの定義)

 

The customer acquires the right to use an item for a period of time when entering into a lease.

(リース契約を締結すると、顧客は、ある一定期間、ある対象物の使用権を獲得する。)

 

定義の次の文章で、下記のことを言っている。

 

・リースは、顧客がその対象物の使用を管理する。

・サービスは、提供者がその対象物の使用を管理する。

 

(ガイダンス)

 

A lease is defined as a contract that conveys to the customer the right to use an asset for a period of time in exchange for consideration.

(リースは、賃料と引換えに、顧客に、ある資産を一定期間使用する権利をもたらす契約であると定義される。)

 

A lease exists when a customer controls the right to use an identified item, which is when the customer:

1 has exclusive use of the item for a period of time; and

2 can decide how to use it

(顧客がある特定対象物の使用権について、下記のように管理している場合に、(契約の中に)リースが存在する。

1.顧客が排他的な使用権を持っており、かつ、

2.顧客がその対象物を何に使うかを決められる。)

 

以上を僕流にいい加減にポイントを記載すると、次のようになる。

 

・リースは契約である(即ち、資産それ自体ではない。資産それ自体なら、有形固定資産など他の適当な勘定科目で処理される)。

 

・リースは顧客が、一定期間、特定の対象物の使用権を持ち、その対価を支払う。

 

・顧客が使用権を持つとは、

・顧客が独占的に使用できる。

・顧客が用途を決められる。

 

・これ以外の特定物の使用権に関連する契約(=顧客が使用権を持つ契約)は、サービスである。

 

 

というわけで、ある一定期間の特定対象物について、顧客が使用権を持つか、提供者が使用権を持つかが、リースかサービスかの判断の分かれ目のようだ。使用権というのは抽象概念なので、例えば“占有”のような目で見て容易に確認できるものではない。しかし、2つのポイント(独占的使用権と用途の裁量権)で見分けができるというのは、シンプルでいい。

 

しかし、ここまでは、2013年のリースED(=公開草案)を検討したとき3と内容が変わらないような気がする。2013EDも、ここまではシンプルだった。リースの定義は最も基本部分なので、さすがにここまでは変わることはないということか。この小冊子には、2013ED に対して受取ったコメントの概要や、それに対するIASBの対応等も記載されている。次回はそこを見て、本当に変更がないか確認してみよう。

 

―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―

1 〔焦点〕中国利下げ、製造業への懸念反映 全人代直前の発表にサプライズ REUTERS 3/2

 

2 日本のハイテク便座買うのは「中国人の恥」―共産党機関紙が批判 WSJ 2/27 の最終段落。

 

3 263.【リースED'13】規準改正の“肝”2013/7/4 からのシリーズ。このシリーズの全体像は、C09)リース をご覧になると良いと思う。

446.【事務連絡】ランキング公表の中止

2015/3/3

みなさんのうち、ごく少数の方は「なぜ、アクセス・ランキングを公表しないのか」と不信に思われているかもしれない。そう、1月・2月と2カ月連続公表していない。正直に告白すると、1月分は公表を忘れていた。2月分は、本当にニーズがあるのだろうか、と考えた結果、ないだろうと判断して止めた。

 

もともとこのランキングは、時々、多くのページを捲っていかれる方がいらっしゃるので、「他の方はこんな記事をご覧ですよ」と、参考にしてもらうために公表したのだが、どうも、そのようには機能していない。そういう方は、ご自身の興味に従ってページを捲るのであって、他の方の嗜好には興味がないようだ。

 

世界的にも署名な片付けコンサルタントの近藤麻里恵氏は、「ときめかない物は捨てる」と言われるそうだ1。実は、僕自身も、ランキング情報にときめかない。僕が関心を持つのは、累計アクセス数と、最新記事へのアクセス数のみだ。ニーズがなく、ときめきもない、となれば、中止するしかない。

 

ということで、過去に公表したランキング・ページを削除することまではしないが、もう、終売とさせていただくことにした。あしからず、ご了解をお願いしたい。

―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・

1 こんまりの 「ときめく片づけの魔法」、世界的ブームに WSJ 3/2

« 2015年2月 | トップページ | 2015年4月 »

2017年3月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
無料ブログはココログ