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2015年5月12日 (火曜日)

468.【投資】東芝、工事進行基準、第三者委員会、ストップ安

 

2015/5/14 東芝は、5/13 の深夜に追加の情報を公開して、現時点で判明している過年度財務業績への影響を説明した。この情報は、脚註 *1 に記載したリンク先で見ることができる。

 

2015/5/12

東芝から、5/8 に3つの文書が公表された*1。要約すると次のようになる。

 

A. 不適切会計の調査について、特別調査委員会から第三者委員会への移行を決定した。

 

特別調査委員会は社内委員会(取締役等+外部専門家)だが、第三者委員会は、日本弁護士連合会の「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」に準拠した、弁護士等外部者のみで構成される独立性の高いもの*2

 

B. 決算発表は6月以降の見込みで、株主総会は延期(日程未定)、期末配当は無配とする。 

 

C. 公表していた2015/3 期の業績予想を取り下げ、"未定"とした。

 

東芝は 2013 年にも特別調査委員会を設置しており、その時は、子会社(旧東芝医療情報システムズ)で、過去6年間で98億円の不適切な会計処理が判明したが、過年度決算の訂正には至らなかったという*3

 

また、5/11 には、全上場子会社の決算発表も延期すると発表した。その理由は「グループ会社も第三者委員会の調査対象になる可能性がある」(広報・IR室)ため、という*4

 

 

東芝の 5/11 の株価は、ストップ安(=制限値幅の下限)まで売られた*5。これは、マザーズなど進行市場銘柄ではたまにあるが、東証一部ではあまりお目にかからない。(しかし、たまたま 5/11 は、1億円への大幅減資を公表したシャープも、一時的にストップ安になった*6。)

 

確かに、上記の通り、報道された事実を並べてみると、相当重大な何か(または、その端緒)が発見された印象を受ける。しかも、その内容や規模が明らかでないため、疑心暗鬼を生んでいるようだ。このままでは、さらに下げ続けるかもしれない。

 

この状況は、株主にとっては、相当痛いだろう。ご同情申し上げる。

 

ちなみに、2014/3 期の東芝単体の財務諸表によると、仕掛品残高は約2千億円。このうち、いくらが進行基準によるものかは分からない。進行基準による売上高・売掛金残高も、もちろん、原価率も開示されてない。(状況によっては取り消される可能性がある)繰延税金資産は13百億円。これでは、どれぐらいの規模の訂正になり得るのか、見当がつけられない。そのほか、株主資本合計は94百億円あるが、利益剰余金は12百億円しかない(株主資本のほとんどは、資本金と資本剰余金)。

 

全て悪い方へ考えると、下手に配当して会社法違反のタコ足配当にならないよう、無配とした可能性も考えられるが、そういうことなのだろうか?(即ち、1千億円規模の利益訂正?) いや、そこまで行ったら、経営陣が関与した粉飾決算の規模だ。それはないだろう。しかし、情報が乏しすぎる。もう少し、規模感につながるヒントを開示をしてもらった方が、株主には優しいと思う。

 

ちなみに僕は、東芝は持っていないが、シャープの株を持っている。(ToT)

 

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

*1 この3つの文書は、東芝のホームページに掲載されている。一応、リンクを掲載する。

 

東芝トップページ > 企業情報 >投資家情報

 

*2 東芝は、これに先立つ 4/3 に、特別調査委員会の設置を公表していた。その時は、次のように説明していた。

 

現時点までの社内調査では、本件は当社(単独)の一部案件に係る工事進行基準における見積りの合理性という会計処理上の問題であること等に鑑みて、専門性及び客観性を担保しつつ可及的速やかに調査を行うために、当社の事業内容や組織体制等を熟知した社内委員が外部専門家と協力しながら調査を行うことが最適であると判断し、日本弁護士連合会「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」に基づく第三者委員会の形態は採用せず、上記の特別調査委員会の体制といたしました。

 

これに対して、5/8 の文書では、次の通り記載している。

 

本日現在までの特別調査委員会の調査の過程において、一部インフラ工事の工事進行基準案件において、工事原価総額が過少に見積もられ、工事損失(工事損失引当金を含みます。)が適時に計上されていない等の事象が判明しており、また、工事進行基準案件の工事原価総額の見積りの問題以外にも、更なる調査を必要とする事項が判明しており、これらの事実関係の詳細調査及び発生原因の究明にはなお時間を要する見込みとなっております。

当社は、かかる状況に鑑み、調査結果に対するステークホルダーの皆様からの信頼性をさらに高めるため、現状の特別調査委員会による調査の枠組みから、日本弁護士連合会の定めるガイドラインに準拠した、当社と利害関係を有しない中立・公正な外部の専門家から構成される第三者委員会による調査の枠組みに移行することを決定いたしました。

 

4/3 の時点では"疑い"であったものが、5/8 では"事実"となり、加えて、"更なる調査を必要とする事項"の存在も判明している。

 

ちなみに、日本弁護士連合会のガイドラインの冒頭では、外部専門家を加えた内部調査委員会と、外部専門家のみの外部調査委員会の2つのタイプのどちらを選択するかは、基本的には経営者の判断に委ねられており、「不祥事の規模や、社会的影響の度合い」などが考慮されるとされている。

 

決算を延期してでも徹底調査が必要な事項、不祥事の規模や、社会的影響の度合いが大きい事項とは何だろうか。それはまだ明らかにされていない。

 

*3 東芝、2013年度の会計処理に疑い 調査委員会を設置REUTERS 4/3

 

*4 東芝、全上場子会社の決算発表延期へ 不適切会計問題で」日経電子版 5/11 無料記事

 

グループ会社にも関係するという具体的な事実や疑いがある可能性もあるが、単に、新しく選任された第三者委員会メンバーの意向によるものかもしれない。これについては分からない。

 

*5 例えば、「東芝ストップ安、広がる不適切会計問題の影」日経電子版 5/11 有料記事

 

ちなみに、東芝の株価は前週末の終値が483.3円で、制限値幅は80円。5/11(月)の終値は、403.3円。

 

*6 シャープ 大幅減資検討 株価一時ストップ安NHK 5/11

 

 

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