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2015年5月22日 (金曜日)

471.【番外編】LIXILのM&Aと詐欺メール

2015/5/22

東芝に続き、LIXILグループも、大変なことになっているようだ。中国で事業展開している孫会社“ジョウユウ”が、破産手続きに入る可能性があり、破産した場合、分かっているだけで410億円の損失が発生するという。LIXILグループの連結純利益が吹き飛ぶかもしれない規模だ。(「LIXIL、独子会社の破産申請検討 410億円の損失も 」日経電子版 5/21無料記事)

 

これに関連して、以下のようなニュースリリースがLIXILグループから公表されている(新しい順)。

 

5/21 海外子会社における破産手続開始申立の検討に関するお知らせ

5/1  平成27年3月期決算発表の延期に関するお知らせ

4/27 海外連結子会社における検証に関するお知らせ

4/2 LIXILによる、GROHE Groupの12.5%株式取得完了(子会社化)について

4/2 GROHE Group S.a r.l.社等の連結子会社化完了に関するお知らせ

 

要約すると、4/2に子会社化を公表したばかりの会社(=GROHE)の子会社(=ジョウユウ)の、そのまた子会社で粉飾が見つかり、LIXILグループは5/7に決算発表を行う予定だったが、5/1にそれを延期すると公表していた。そして、今回、その子会社(=ジョウユウ)が破産手続の検討を始めたこと、及び、破産した場合の影響額を公表した。

 

 

と、ここまで書いて、今朝方届いた訳の分からないメールを思い出した。確か、差出人がGoogleだったような。最近パソコンを変えたら、添付ファイル付きのメールが、しばしば、時間をおかないと見られないことがある。そういうメールが来ていたのだ。もう見れるかもしれないと思い、それを見てみた。

 

凄い内容だった。

 

英語なのだが、なんと £950,000(1億数千万円)の小切手を送りたいから送り先を教えてくれという。Googleが勝手にやってる宝くじに当選したらしい。どうやら、世界でたった12人の幸せ者になった。あの有名なラリー・ペイジ氏(=Googleの共同創業者)のサインもある*1

 

実は、最初 £950,000にピンと来なくて、清水の超高級寿司が食えるぐらいのイメージだったが、改めて、日本円に換算してみて驚いた。これは、人生が変わる。寿司では使い切れない。新国立競技場の近くにマンションを買おう。そして、FC東京か、鹿島アントラーズのサポーターになろう。

 

しかし、詐欺だった。念のために文章の一部をググってみたところ、連絡先である上級副社長のVic Gundotra 氏は昨年Googleを辞めているし、このままやりとりを続けると、そのうち様々な名目で費用請求されるということだった。

 

 

ん〜、LIXILグループも、買ったばかりで粉飾が発覚するとは、詐欺にあったようなものだ。でも、それなら“表明保証責任”*2を問えば、売主からかなり取り返せるのではないか。

 

と思ったが、どうやら、そう単純ではなさそうだ。というのは、ジョウユウ及びその親会社のGROHEは、事実上、昨年の1月からLIXILグループの支配下にあったのではないかと思われるからだ。LIXILグループは、昨年1月に、金融機関と折半で設立した SPC(=特別目的会社)を経由して、GROHEの議決権の 87.5% Glacier Luxembourg One S.à r.l.より取得した*3。その一部を、この4/1にLIXILが買い取って、両社を連結子会社にした。

 

決算上は、GROHEもジョウユウも、これまで持分法適用会社扱いのようだが、金融機関には事業会社の経営はできない。GROHEの事業は、LIXILグループが見ていたに違いない。ということは、LIXILグループが売主の表明保証責任を問うには、粉飾が昨年1月以前からあったことを証明しなければならない。実は、買ったばかりではないのだ。もう、買収契約上、表明保証責任を問える期間は過ぎているかもしれない。

 

しかも、もしかしたら、粉飾は昨年1月以降に行われたものが主かもしれない。というのは、中国の不動産市況の悪化が囁かれはじめたのは最近だからだ。シャドー・バンキング問題は、だいたい2013年ごろから、住宅価格が下落に転じたとされたのは、昨年夏ごろからだ。

 

いやいや、中国の経済指標は当てにならないと悪名高いので、やはりもっと以前から業績が悪化していて、それを隠して粉飾していた可能性も捨てきれない。

 

あるネットの記事*4では、金融機関と折半でSPCを設立し、両社を持分法適用会社にした買収スキームについて、「自社のバランスシートや格付けを悪化させることなく大型買収を行える絶妙な手法」などと記載しているが、LIXILはこのアイディアにいくら払ったのだろうか。もし、同じ金額を使って、買収調査や中国市場の実態調査を充実させていれば、さらに良い買収効果が得られただろう。もっと安く買えただろうし、買収後の子会社経営に役立つ情報も入手できたに違いない。

 

ここまで考えて、ふっと思ったのは、「ググっといてよかった」だ。詐欺メールと企業買収を同じように扱っては、LIXILをはじめ、企業の方々に怒られてしまうが、相手を知ることは重要だ。B/Sの見てくれより、経営の実態把握にこそ、金も手間もかけるべきだと思った。

 

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

*1 実に立派なお祝いメールだった。ご覧いただきたい。と同時に、みなさんもお気をつけいただきたい。

Google_2_2

*2 一般の売買取引で売主に課される瑕疵担保責任のようなもの。

 

*3 以下を参考に記載した。

 

株式会社LIXILがGROHE Group社の株式を取得

~水栓金具のリーディングカンパニーを買収し、

グローバル事業を強化~

LIXILグループのニュースリリース(2013/9/26)

 

膨張するLIXIL〜積極果敢な海外企業買収で高まる財務リスク、効果に疑問の声も

Business Journal 2013/11/25

 

*4 上記のBusiness Journal の1ページ目の下の方。

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