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2015年6月26日 (金曜日)

482【番外編】ギリシャ問題と欧州統合の収支

2015/6/26

このブログも、今日で4周年、明日から5年目となる。書き始めてから、世の中に対する関心が広まった。以前の僕が狭い世界の住人だったことを思い知らされた。ギリシャのことも、以前ならそれほど関心を持たなかっただろう。遠い国だし、経済規模も小さいし、なにより、“神話の国”のイメージが強くて、現在の関わりが感じられない。

 

しかし、前々回の「480【番外編】ギリシャの言い分」では、よくニュースになる債権者たちの言い分ではなく、あまり話題にならないギリシャの主張を紹介した。要するに、ギリシャに肩入れしたのだ。

 

その後のギリシャと債権者たちの交渉は、ギリシャが再提案して、急に合意への期待が膨らんだが、昨日の段階ではまた失望へ向かっている。まあ、合意したとしても、この6月末の一時凌ぎに過ぎず、改めて債権者たちが救済プランを提供しないと、数ヶ月後には、またギリシャの資金繰りが危うくなる。

 

こんなギリシャに肩入れしてもキリがないよな、と思い始めた時、次の記事を読んだ。

 

英女王「欧州の亀裂は危険」 EU離脱論をけん制か』 日経電子版 6/25 無料記事

 

英国のエリザベス女王は24日、訪問先のドイツで「欧州の亀裂は危険だ」と発言した。・・・英国でくすぶる欧州連合(EU)からの離脱論をけん制したと受け止められている。

 

僕は、この記事の見出しを見て、ギリシャの話題と直感したが、読んでみると、英国のこととされている。英国では来年か再来年に、EUから脱退するかどうかの国民投票が予定されている。これに関して女王陛下が、キャメロン首相と相談の上でこの発言をしたと、ドイツ・メディアが解釈したことが紹介されている。

 

そうだろうか。女王陛下は、やはりギリシャを念頭にご発言されたのではないか? もちろん、英国のことも考えながらだろうが。

 

 

最近、英国が小国に見えて仕方がない。それは、僕には、英国が自国の利害が絡むことにしか、積極的な発言・行動をしないイメージができつつあるからだ。一方、このところのロシア対応など、ドイツの方が自国の利害を超えて、ヨーロッパを代表するような発言・行動しているように思う。しかし、女王陛下は違うだろう。この方は偉大だ。

 

EUは、第一次世界大戦、第二次世界大戦の反省に立って、ヨーロッパで2度と戦争を起こさないために設立された機関だ。その前身である欧州石炭鉄鋼共同体について、Wikipedia(“欧州石炭鉄鋼共同体”)には次のような記載がある。

 

195059日にフランス外相ロベール・シューマンが提唱したもので、「フランスとドイツの間での戦争を二度と繰り返さない」という考え方に基づいている。その後1951年にパリ条約が調印されたことを受けて設立されることになるが、条約の調印にはフランスとドイツ(当時は西ドイツ)だけでなく、イタリアとさらにオランダ、ベルギー、ルクセンブルクのベネルクス3か国も加わった。

 

「ヨーロッパで戦争を起こさない」というと、今ではロシア相手のイメージがあるが、2度の世界大戦の経験は、ドイツ対策の必要性を示している。そして、実際にドイツ対策が行われている。

 

例えば、1990年の東西ドイツ統一は、西ドイツが“マルクを放棄する(=ユーロに参加する)”ことと引き換えだったことはよく知られていると思う。この統一は、決して、両手放しで歓迎されたわけではない。英仏など周囲の国が、ドイツが強大になりすぎると心配し、当時、円と並んで最強通貨だったマルクを西ドイツに捨てるよう迫った、とされる。

 

しかし、今や、ヨーロッパで、ドイツにこのようなプレッシャーをかけられる国はなくなってしまったように見える。ただ、英国の女王には権威がある。いくら最近の英国の政治家が小粒になっても、1926年生まれで、第二次世界大戦も体験された女王陛下は、即位した1952年からずっと変わらず経験を積まれてきたのだから。

 

ドイツ・メディアは、その女王陛下の権威を恐れたのではないか。敢えて、ちょっと的の外れた解釈をして見せたのではないか。まさか、エリザベス女王に「ギリシャに譲歩せよ」と言われるとは予想してなかったので、かなりびっくりしたのではないか。

 

まあ、これは全くの想像で、なんの根拠もない。

 

 

さて、肩入れついでに、ギリシャの窮状を知らせる報道を、追加で紹介させていただく。

 

[FT]ギリシャ、福祉崩壊危機で慈善団体が頼り

日経電子版 6/25 Financial Times翻訳、無料記事

 

また、6/24時点におけるギリシャと債権者たちの意見の相違は、次の内容らしい(「ギリシャと債権団、改革めぐる5つの対立点WSJ 6/25 無料記事)。

 

  1. 消費税)約億ユーロ不足
        
  2. 法人税)上記4億ユーロをカバーするためにギリシャが増税を主張。債権者たちは拒否。
        
  3. 年金改革)
    1.  
    2. 財源に関する対立(債権者たちは年金削減、ギリシャは雇用主の負担増と早期退職制度の縮小を主張)
    3.  
    4. 年金改革実施時期の対立(債権者たちは7/1、ギリシャは10月末からを主張)
    5.  
    6. 2012年以降の年金カット分が無効になる判決を相殺する立法の要求 約12億ユーロ
            
  4. 低所得年金受給者向け追加手当の廃止時期の対立 (債権者たちは2017年までに、ギリシャは20182020年にかけての廃止を主張)
        
  5. 軍事支出の削減 約億ユーロ

 

金額の入っていない項目もあるので、対立点の規模の把握が難しい。ただ、債務額ベースで100億ユーロ(1兆4千億円ぐらい)を大きく超える感じはしてこない。

 

債権者たちは債務削減できないのだろうか。そして、それは“欧州の亀裂”を避けるコストに見合わないのだろうか。恐らく、第二次大戦の悲劇と欧州統合に費やした先人たちの辛苦をご覧になってきたエリザベス女王には、その収支が見えていると思う。

 

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