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2015年7月31日 (金曜日)

496【税効果03】税効果会計と減損会計

2015/7/31

このシリーズの前回(493【税効果01】日本基準の見直しを機に)、前々回(495【税効果02】税効果会計って?)に記載してきた通り、このシリーズは繰延税金資産の回収可能性がメインとなる。現在進行中の日本基準の改正は、この問題を扱った監査委員会報告第66号(以下、単に“66号”と記載)をASBJへ移管することが目的だし、現在の税効果会計は、P/L面よりB/S面から理論構成されている(=資産負債法)。どちらも、繰延税金資産をいくらで計上するか(=測定基準)が重要なのだ。

 

個別改正項目の議論に入る前に、“繰延税金資産の回収可能性”というテーマの“回収”という言葉について考えてみよう。この言葉は、減損会計でよく出てくる言葉だ。資産のB/S計上額を将来キャッシュフローで回収できるかどうか、といった使われ方をする。回収できなければ減損するし、回収できるなら減損テストをパスして取得価額(=帳簿価額)を維持できる。税効果会計でも同じだろうか。

 

例えば、66号では、次のように使われている。

 

将来の税金負担額を軽減する効果を有していると見込まれる場合にのみ監査上繰延税金資産の回収可能性があると判断することができ、・・・(P1 2.繰延税金資産の回収可能性に関する監査上の基本的考え方」より)

 

“将来キャッシュフロー”が“将来の税金負担額を軽減する効果”に置き換わっているが、税金負担額とはキャッシュ・アウト・フローなので、それが軽減されるとキャッシュ・イン・フローになる。即ち、“将来の税金負担額を軽減する効果”とは、将来キャッシュ・イン・フローのことだ。すると、66号で言っているのは、繰延税金資産についても「将来キャッシュフローが見込まれる金額について回収可能性があると判断される」ということだ。したがって、“回収”や“回収可能性”という言葉の意味は、減損会計と同じだ。

 

税効果会計を通常の固定資産の会計処理と比べると、固定資産は、それが存在していれば資産として認識される。税効果会計では(将来減算)一時差異が存在していれば、(繰延税金)資産として認識される。よく似ている。加えて、期末には、それが固定資産の場合は減損テストされ、繰延税金資産であれば回収可能性がテストされる。これも同じだ。

 

ということで、繰延税金資産の回収可能性の会計処理は、税効果会計における減損会計と考えて良さそうだ*1。こういうイメージを持っておくと、今後幾つかの論点の理解がしやすいかもしれない。

 

 

 

🍁ー・ー🍁ー・ー

*1 ただ、回収可能額の測定や会計処理などが全く同一というわけではない。注記も異なる。

 

例えば、固定資産の減損会計では最終的に将来キャッシュフローの見積もりに割引率が適用されるが、税効果会計では一時差異の解消スケジュールを見積もっても割引率を適用しない。このほか、減損の兆候の有無を判定する規定と、繰延税金資産の回収可能性を判定するための会社分類の規定は、関連がありそうだが、規定の内容は相当違う。また、日本の減損会計基準では減損損失を資産に戻すことは禁じられているが、繰延税金資産は一旦回収可能性なしと判断された項目でも翌事業年度以降に状況が改善されれば復活させることができる。

 

これらについては、なぜ違うのか分析してみると面白そうだ。

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