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2015年8月 5日 (水曜日)

497【番外編】社畜、経営理念、社会的使命

 

2015/8/5

東芝の粉飾事件については、スポットライトの一つが“監査法人の責任”へ向けられている。「監査法人はわかっていたはずだ。でなければ無能だ」みたいなものから、「責任の重さと監査報酬の低さ」を指摘したものまで様々だ。が、厳しい意見が大勢のようだ。

 

このような不正・粉飾は、顧客や社会を無視した“村の論理の結晶”として発生する。社会貢献を謳った経営理念をどこかへ置き去りにし、身内の都合ばかりを優先した結果が不正や粉飾決算になっていく。これは、経営層・管理層を年功序列型の人事制度で長期間育成された人材が埋めていく日本企業にとって、陥りやすい危険な落とし穴だ。日本企業にこそ、経営理念やその他の方法で如何に顧客や社会とつながっていくかを、役員・従業員へ意識させ続けることが必要だと思う。

 

もし、日経電子版の有料会員で時間に余裕のある方は、次の記事をお読みいただきたい。

 

バブル入社組が迫られる「社畜卒業宣言」 日経ビジネスからの転載記事 8/4

 

会社が大好きで全てを捧げてきたサラリーマン…典型的な日本のサラリーマン…を“社畜”と呼ぶらしい。この記事は、2015/3期の大赤字決算とともに公表されたシャープの希望退職募集などの取材をベースに、人々が“社畜”から卒業していく姿を描いている。彼らは「会社への思いは片思いだった」と悟り、「自分は他の会社でも通用するだろうか」という不安を乗り越え、「どこでも通用する力をつける」ことの重要性を意識していく。

 

恐らく、こういう人がたくさんいたら、今回のように現場をも巻き込むような粉飾はやりにくくなるだろう。村の論理より、顧客や社会を大事にする社風であれば、ガバナンスが効きやすく、東芝のような“チャレンジ”にはならなかったように思う。“愛社精神”は美しいが、またそれだけに汚れ歪みやすい。輝き続けるには、“社畜”じゃない人々や“社畜”でも経営理念を最優先に考える人々による不断の努力が必要だ。

 

 

さて、監査法人はどうだろうか。監査は国家試験に合格した公認会計士によって主に行われる。我々はその後も会計基準や監査基準といった社会的規範に基づいて業務を行い、経験を積み、“第三者としての立場”或いは“独立性”の重要性を学んでいく。それなら村の論理とは無縁だろうか。

 

確かにそういう面もある。特に、会計基準の解釈などの専門分野では、一定の評価を得ていると思う。だが、“社畜”はいるし(僕もそうだったかも)、村の論理は一般企業と同じだ。

 

今回の事件で、東芝の監査人は日本公認会計士協会などの調査・検査を受ける。そのとき、村の論理ではなく、監査法人の経営理念や公認会計士の社会的使命に照らして誠実・率直に対応し、実態を明らかにしてほしい。勇気のいることだが、是非そうしてほしい。その結果、社会や監査人業界が、この事件から貴重な教訓を得られることを期待したい。そして、監査基準等の過剰な見直し(=効果よりも監査の社会的コストばかりが増える見直し)に至らないことを願いたい。

 

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