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2015年8月24日 (月曜日)

501【投資】中国経済の予見可能性

2015/8/24

マーケットが暴風雨にさらされ、荒れている。僕のポートフォリオも大分悪化した。しかし、先月の上海株暴落時に早まって売却して痛い思いをしたので、今回の嵐では、まだ踏ん張っている。僕が思うに、この嵐の原因は、世界経済の先行きに関する“予見可能性”が低下していること、即ち、米国FRBが利上げに踏み切れるかどうかについて不透明さが増していることで、それを引き起こしたのは中国だ。

 

(8月上旬までの米国の状況)

 

雇用関係の経済指標は比較的順調だ。毎月第1金曜日に公表される雇用統計(=非農業部門に関する雇用統計資料、いわゆるNFP)は、新規雇用者数が失業率が上がらない目安の20万人をコンスタントに超えており、失業率も低位安定している。8/7に7月分が公表された時点では、問題は残っているが、FRBが9月に利上げする軌道上にある、というのが大方の見方だった。そのほか、景気の先行指標とされる住宅関連指標も好調だ。

 

一方、ドル高や原油相場の下落が米国企業収益に影を落としており、株価は不安定だ。また、経済の体温とも言われるインフレ率もこれらによって下押しされており、上昇へ転じる兆しが見られない。

 

株価は、FRBの責任範囲外だが、失業率とインフレ率は、FRBの政策目標となる指標なので、一般のエコノミストには、「インフレ率が上昇に転じる兆しがない以上、利上げは早すぎる」という意見もあるし、債権投資家はあまり利上げを見込んでいない。しかし、FRBの高官が利上げに前向きな発言を繰り返していたため、マーケット関係者は9月利上げとの見方を固めつつあった。

 

(8月中旬の米国の状況)

 

人民元の切下げをきっかけに中国経済の評価を見直す動きが強まり、中国マーケットの依存度の高いアップルなどの株価がまず下落。その後も、天津の倉庫爆発事故や上海株式市場の下落などにより、さらに、中国経済の先行きにネガティブなイメージが台頭。以前から報道されていた中国経済減速による新興国経済や中国周辺国経済の悪化の影響も意識され、株式相場全体がリスク・オフとなった。

 

中国経済の減速が米国経済にもたらす悪影響を、FRBがどの程度意識しているかが不明で、9月利上げがあるともないとも言えない状況になっている*1。恐らく、米国投資家は次の点を不安に考えている。

 

・中国経済減速の影響がどの程度米国経済の足を引っ張るかが分からない。

FRBがこの影響をどの程度見込んでいるか、見込む気があるかが分からない。

FRBが米国経済減速のなかで利上げしてしまう可能性を否定できない。

 

(日本の状況)

 

米国市場は、中国市場が閉まった数時間後に開くので、中国市場の影響はヨーロッパ市場を経由して伝わる。一方、日本市場は中国市場より少し早く開き、少し早く閉まるため、中国市場の値動きが直接伝わってくる。この差はあっても、基本的には上記米国市場とほぼ同様の影響を中国市場から受けている。米国と異なり、日本企業は円安の恩恵で4-6の業績は絶好調だったが、中国への依存度の高い企業の株価から値崩れを起こし、さらに米国のリスク・オフを受ける形で円高が進行し、日本株も相場全体がリスク・オフとなっている。

 

ということで、日本株は以下の要因に左右されると思われる。

 

 中国経済減速の影響を日本企業がどの程度受けるか

 

 米国FRBの利上げ判断の不透明さによるリスク・オフがいつまで続くか

 

ところが、これらの問題は派生的なものに過ぎない。肝心なのは、大元の中国経済減速の実態がよく分からないことだ。中国の経済指標や上海株式市場の企業評価があてにならないし、それが世界経済にどのような影響を及ぼすかが分からない。分からないので、不安が不安を呼び、日本だけでなく世界中の投資家が過剰反応している可能性もある。まさに、中国経済に関する“予見可能性”の低下が今回の嵐の根本にある。

 

(今後の展開)

 

“予見可能性”が向上する機会があれば、株価は持ち直すか、さらに下落するかはっきりする。

 

その機会とは、当面はFRB高官の発言が注目を集めると思われる。しかし、FRB高官とて、中国経済の実態を理解しているわけではないので、決定打にはならない。結局、9月の米FOMC(=公開市場委員会;FRB高官によって米国の金融政策が決定される会合。9/16-17)が開催され、金利が引上げられるまでダメかもしれない。金利が引上げられれば、「米経済に対する影響は大したことない」というFRBの強いメッセージになる。金利が引上げられても、“予見可能性”が増すので、米株価上昇の可能性がある。

 

金利据置きとなれば、米国の金利引上げ時期に関する不透明な見通しが改善せず、さらにその期間が長期化することで、米株価の不安定な、ボラティリティが高い状態が続きそうだ。通常であれば、金利引上げがパスされれば株価は上がると予想されるが、中国リスクの米経済に対する影響の“予見可能性”が低下した状態が継続するので、米株価は上がらない気がする。或いは、FRBが中国リスクを重大に考えていることが確認されて、米経済に対する先行きの不透明感が増し、米株価が下落する。

 

日本の株価もほぼ同様の動きになると思う。この“予見可能性”の効果に加え、米国金利引上げは円安につながり、日本企業の業績向上期待につながりやすい。逆に米国金利引下げは円高につながり、逆効果だ。

 

その前に、9月の第一金曜日の米国雇用統計で、新規雇用者数が20万人を大きく割り込むような悪い結果が出れば、少なくとも米国金利の9月引上げの可能性は明確に低下する。したがって、“予見可能性”は改善される。金利引上げが延期される見通しが立つことで、米株価は上げるかもしれない。しかし、日本の株価は為替が円高に振れて下落するかもしれない。

 

そもそも、中国経済の実態が判明することで、より直接的に“予見可能性”が向上する機会はないのだろうか。ん〜、思いつかない。これを考えると増す増す見通しが暗くなる。

 

今回は、あまり頑張って持ち続けない方が良いのだろうか? それとも、頑張ればそれなりの見返りがあるのだろうか。全く分からない、見えない。この株式市場の嵐は来週も続くだろう。暗闇の中で相場下落の嵐に耐えるのは、けっこう、つらい。

 

しかし、長期的な株価の上昇基調は崩れていないとの見方もある*2。ここはもう少し辛抱、9月のFOMCを目指して、踏ん張るしかないのだろう。

 

ちなみに、僕は中国経済がいずれ大減速すると想像しているが、その時期は今ではないと思う。どうも、中国の一般市民には、経済減速の影響はあまり及んでいないように思われるからだ(消費や所得の伸び)。この段階では、中国共産党にはまだ打つ手があるはず、と思っている。

 

結局、僕はまだ希望を捨てていない。なかなか、勝ち点3を取れないが、清水エスパルスの1残留と同じだ。まだ、頑張れる。

 

🍁ー・ー🍁ー・ー

*1 8/197/2829日に開催された米FOMC(=公開市場委員会;FRB高官によって米国の金融政策が決定される会合)の議事録が公表された。しかし、中国リスクについては議論の対象になってはいたものの、具体的な内容・評価は不明だった。この議事録が公表された19日の米株価は、9月利上げについて不透明感が増したことで下落した(REUTERS 8/20)。

 

*2 例えば以下の記事。

 

長期の上昇相場、まだ終わらない 日経電子版 8/22 有料記事

 

米国株式市場についてのコメント。米国株式市場がまだ上昇基調にあるのであれば、米国利上げ、円安、日本株上昇のシナリオも健在な可能性が高い。

 

日本株比率「将来は10%も」 ドイツ最大運用会社CIOに聞く 日経電子版 8/23 有料記事

 

日経平均は、来年6月までに21,000円を付ける可能性がある、との見方を紹介している。

 

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