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2015年12月 1日 (火曜日)

530【投資】X'masは寒いかも

2015/12/1

今年も、早くも、師走となった。しかし、昼間はコートなしで外出できる陽気だ。昨日からCOP21が開催されているパリでも、平年より暖からしい。だが、一昔前と様変わりして、今は、冬が暖かくてもお祝い事にならない。将来の気候変動が頭をよぎるからだ。

 

株価も一時の中国ショックの冷え込みから脱し、今や日経平均株価(=N225)は、2万円を回復しようとしている。このまま暖かい状態が続くだろうか、それとも、寒波が来るだろうか。そろそろ、見極めが必要な時期に来ている。

 

当面は、3日(木)の欧州中央銀行(=ECB)政策委員会の結果と4日(金)の米国雇用統計が注目だが、クライマックスは16日(水)の米連邦公開市場委員会(=FOMC)の結果、米国の金利が引き上げられるかどうかだ。18日(金)には日銀の政策決定会合もあり、追加緩和の有無も注目される*1

 

恐らく、現時点で次のような見方をする方がいても不思議はないと思う。

 

ECBは追加緩和策を公表し米国雇用統計は大禍なく順調な数値が公表され、ドル高・ユーロ安、円も連れ安し、日本株は上昇する。FOMCでは利上げ開始が決定され日銀が動かなくても年末までドル高が進み、日本株は上昇する。そして、良い年が迎えられる。

 

赤文字部分は、一般的にかなり高い確率で予想されている。僕も、きっとそうなると思う。ただ、FOMCあたりで寒波が来るかもしれない、年越しは厳しいかもしれないと思っている。その理由は、概ね、次のコラムに書いてある。

 

コラム:米利上げ後のドル円上昇は望み薄か=亀岡裕次氏 REUTERS 11/27

 

長文のコラムだが大雑把に要約すれば、次のようになると思う。

亀岡氏は、利上げ後の米国株式相場の上値が重く、長期金利の上昇が阻まれるため、利上げペースがゆっくりとなり、ドル高は進まないだろうと予想している。米国株式相場が重くなるのは、世界経済の成長が鈍化している中で、米国経済や米国企業にとってドル高が限界にきているため(、もはや、来年以降の金利上昇を後押しする米国単独での成長や物価上昇は望めないのではないか)。

 

亀岡氏は、数ヶ月から1年単位の視点でドル高の可能性を引き下げているが、僕は、早くも半月後にそうなりそうな気がしている。なぜか。それは投資家の猜疑心による。

 

信用取引を行わない方には関係ないが、金利を払って投資を行っている投資家にとって利上げとは、直接的なコストが増える上に投資先企業業績にも負担となるものだ。中央銀行が景気の過熱を防止するために金利を上げるのは景気を長続きさせ企業業績をサポートする意味で好ましいが、もし、景気が過熱してない時に利上げされたらどうなるか。景気を冷ましてしまう。投資家にとってこれは最悪だ。直接的なコストが増加する上に、投資先企業の業績も悪化しやすいからだ。

 

FRBの利上げは本当に時宜を得ているだろうか。」 米国の投資家はこの点を改めて確認しようとするに違いないと僕は読んでいる。そのため、利上げが決まったら、いったんポジションを縮小するのではないかと思うのだ。そうなれば、米国株は下落し、日本株もそれに引きづられるに違いない。だが、そのうち堅調な景気指標が確認できたら、きっとポジションを戻し始めるだろう。

 

この数年、FRBが金融引締めのステップを踏むたびに米国株式相場は調整を繰返してきた。

                       
 

2013/5

 
 

いわゆるバーナンキ・ショック。当時のFRB議長のバーナンキ氏が、議会でテーパリング(=追加の量的緩和規模の縮小)の開始を示唆。

 
 

2014/1

 
 

前月のFOMCFRBがテーパリング開始を決定。アルゼンチンに端を発する新興国通貨ショックが発生。

 
 

2014/9-10

 
 

その前月にテーパリング終了を決定(=追加の量的緩和の停止)。米国株は3週間にわたって下落。

 
 

2015/1

 
 

FRBが2015年中の利上げ開始を示唆。原油安・ドル高が意識され米国株軟調。

 
 

2015/9

 
 

利上げが予想された9月を前に米国相場が下落(8月の中国ショック)。利上げを織り込んだと思われていたが、FRB声明文の自信のなさに、9月に一段の下落。(この時は、ギリシャ危機などで6月ぐらいから軟調ではあった。)

 
 

2015/12

 
 

FOMCは利上げを開始する見込みだが、さて、相場はどうなるか。中国ショックがあった2015/9以外は、FRBのアクションの後に相場が崩れている。

 

 

一方、投資家が米国経済に自信を持っていれば、こんな確認は必要ないかもしれない。自信を持てるかどうかは、4日の雇用統計の結果に大きく影響されるように思う。したがって、もし、雇用統計が先月のようにびっくりするほど良い場合は、FOMC後も引き続き良い相場が続くかもしれない。この意味でも、今週末の雇用統計には注目だ。

 

もし、X'masが寒くなれば、ホワイト・クリスマスになってロマンチックな夜が過ごせるかもしれない。しかし、株価が下がって懐も寒ければ、それを楽しむ余裕は無くなってしまうだろう。今年は、短期投資目的の株を早めに売って、クリスマス・プレゼント資金やお年玉用にした方が良さそうな気がする。

 

 

🍁ー・ー🍁ー・ー

*1 日銀の黒田総裁が追加緩和について前向きな発言をしたらしい。

 

日銀総裁「物価2%、早期に実現」 名古屋で講演  日経電子版 11/30 無料記事

 

この記事は午前11:49に配信されたが、この日の午後の相場はさらに下落した。日銀の追加緩和は、あまり投資家に期待されていないのかもしれない。

 

 

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