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2016年1月27日 (水曜日)

545【CF4-17】資産等の定義の前に、基本的な質的特性

2016/1/27

U23サッカー日本代表は、悲劇の地ドーハでアディショナル・タイムに決勝ゴールを決めイラクを破り、オリンピック出場を決めた。よかった! 劇的。でも、ハラハラさせすぎですよ、手倉森監督。

 

 

さて、ここまで、概念フレームワークの公開草案(=ED)についてつまみ食いしてきた。そして、概ね、「521【CF4-03】公開草案の質問項目の概要ー2015/10/20」の記事であげた僕の関心事項が終了し、あとは、資産等の定義に関連する問題(資産等の定義から不確実性の閾値が削除されたことなど、定義と認識基準が直結されたこと)を残すのみとなった。

 

今回は、これに進む前に改めて、概念フレームワークの基礎概念である「有用な財務情報の基本的な質的特性」を考えたい。この「基本的な質的特性」とは、“目的適合性”と“忠実な表現”の2つだ。これらは、現行の概念フレームワークも同じなので以前もこのブログに似たような記載をしたが、僕は次のような関係があると思っている。

 

目的適合性:利用者 ー (利用者から見た)財務情報の価値を高める

 

忠実な表現:作成者 ー (作成者に)経済実態を忠実に反映した財務情報の作成を要求

 

上記について、僕の考えていることを、改めて書かせていただきたい。

 

(目的適合性:利用者思考ー財務情報の価値を高める)

 

IASBが“目的適合性”という言葉を使った場合、「利用者の立場になって考えよ」とか、「利用者が求めているものを提供せよ」と言っているように僕は感じている。みなさんが概念フレームワークを読むときは、「目的適合性がある」を、「利用価値がある」とか「利用価値が高い」などと読み替えると分かりやすくなると思う。

 

例えば、“重要性”の記述は“目的適合性”の中にあるが、これは「手間がかかるから」などと作成者側の都合のみで“重要性”を考えるのではなく、「利用者サイドに立って財務情報の価値が上がるかどうかにもっと注目せよ」というメッセージに思える。

 

財務情報の価値を高めるとは、財務情報作成に携わる者の価値を高めることに他ならない。IFRSは外部公表用の情報だが、もちろん内部経営資料としても利用されるだろう。財務情報の価値を高めれば、経営者による評価も上がり、作成者である経理マンの価値も高まる。

 

“目的適合性”は、このED(結論の根拠を含む)で、資産等の定義や認識基準に関する記載でよく使われている。(一方、“忠実な表現”は、測定基準に関する記述によく出てくる。)

 

(忠実な表現 ー 作成者志向 ー 経済実態を忠実に反映した財務情報の作成を要求)

 

IASBが“忠実な表現”という場合、財務情報の作成者に「(形式ではなく)実態を確認せよ」と要求したり、「何が実態か、理解しているか」と問いかけているように思える。概念フレームワーク等で、“忠実な表現”が出てきたら、頭の中で「実態、実態」と唱えてみると良いと思う。

 

利用価値のある財務情報は、当然、架空の作り話であってはならず、実態を反映したものでなければならない。ということは、“忠実な表現”は、“目的適合性”の前提になる質的特性だ。一方で、“忠実な表現”は、「何が実態か」という価値判断を含む。その価値判断には、利用者の立場からの“目的適合性”が絡んでくる。よって、両者は車の両輪のように、2つ揃って機能する。

 

例えば、ある資産をB/Sに載せる際、「利用者はこの資産を取得価額で見たいだろうか、それとも時価で見たいだろうか」という価値判断が働く。金融商品のように、その資産が直接将来キャッシュフローに置き換わるものであれば時価の方が実態と思えるし、ある固定資産が事業に利用され、将来キャッシュフローがその事業から生み出されるのであれば、取得原価をベースにした方が実態と思えるだろう。

 

資産の測定(=評価額を決めること)には、会計上の見積りが多用されている。恐らく、IASBとしては、その際、作成者に「実態、実態」と唱えながら作業して欲しいと思っているだろう。判断が偏ったり、「前期と同じ処理をしとけばいいや」などと安易に考えないで欲しい、と思っているに違いない。

 

 

「実態を忠実に描写し、利用価値の高い情報を提供する」と書くのは簡単だが、多用されている会計上の見積りは、作成者の判断が重要となるため、作成者に重圧がかかる。判断がブレれば利用価値が削がれる。したがって、作成者には実態の理解や会計上のテクニックに加え、強いメンタルが必要だ。

 

U23日本代表にも重圧がかかっていたが、やり遂げてくれた。とても励まされる。1/30、23:45キックオフの決勝戦(韓国戦)も楽しみだ。

 

ということで、次回は、資産等の定義に関連するテーマを、今回の基本的な質的特性の観点から眺めていきたい。

 

 

 

 

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