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2016年3月29日 (火曜日)

557【番外編】日本死ねブログと使用価値

2016/3/29

最近ずっと気になっているブログがある。みなさんもとっくにご存知と思うが、次のブログだ。

 

保育園落ちた日本死ね!!! 2/15 はてな匿名ダイアリー

 

テレビ番組で2度ほど(確か、「こまで言って委員会NP」と「激論!クロスファイア」だったと思う)、全文の朗読を聞いたが、実際にブログを読んでみるとさらにインパクトが強い。しかも、何度読み返しても飽きない。すごい怒りのエネルギーだ。この十日ほど、僕のパソコンには、このブログがずっと表示され続けている。

 

最初は圧倒された。次に“芸術だ”と思った。そして、なぜかツー・ビートの「赤信号、みんなで渡れば怖くない」が思い出された。恐らく、強烈な皮肉、劇薬的な“毒”があるところで繋がったのかもしれない。

 

僕のブログはIFRSがテーマなので、“番外編”であってもなるべくIFRS、できれば最近取り上げている使用価値に関連付けたい。そこで、この“日本死ね”ブログをなんとかIFRSに関連付けられないか、ずっと考えてきた。無駄に時が流れていったが、その間に、次の2つのテレビ番組を見た。

 

 

愛情ホルモンとも呼ばれるオキシトシンは、出産時に大量放出されるなど、ママたちの脳や体の機能を変化させる。しかしそれだけでなく、ママたちの攻撃性をも増加させるため、育児中のママたちの怒りがパパたちを困惑させるという。このブログの強烈な怒りのパワーもオキシトシンが関係しているかもしれない。

 

 

いや、オキシトシンではない。むしろ(社会の)閉塞感が原因ではないか。

 

この番組は、米国の庶民的なレストラン“ダイナー”を取材することで、銃規制や大統領候補者選びなどに関する一般米国人の意見を拾っていて、非常に興味深かった。印象的だったのは、次の2点。

 

・2014年にミズーリ州のファーガソンで起こった黒人暴動の原因が、人種問題より経済問題(社会システムの問題)だとする意見が、人種を問わず(黒人からも)主張されていた。

 

工場移転などで税収不足に直面した市が、警官に罰金徴収のノルマを与えていたらしい。その結果、そのしわ寄せで、黒人がひどい扱いを受けたという。人種問題と無関係ではないが、単純な人種差別問題でもない。

 

むしろ、「経済変動の影響を受けやすい層=社会的尊敬を受けられない層=貧困層」という社会構造が固定化し、そこに生まれた閉塞感に、白人警官の黒人青年射殺事件が火を付け、黒人暴動の巨大な怒りのパワーへつながったようだ。そういう意味では格差問題ともいえる。

 

・極端な政策を主張するドナルド・トランプ氏やバーニー・サンダース氏を支持しているのは、普通の人々だった。

 

人々の話を聞いていて思ったのは、「僕も似たような感覚になったことがある」だった。小泉純一郎氏が「自民党をぶっ壊す」と言った郵政解散選挙(2005年)と、最近では民主党が政権を奪取した選挙(2009年)の時だ。閉塞感があると、「まともな選択肢がないなら、賭けに出よう」という気持ちになりやすい。

 

なるほど、これならトランプ氏やサンダース氏は強い。やっとこの両名が善戦している理由が分かった気がした。

 

有権者が“賭け”に出るには理由がある。我慢できない問題があるのだ。しかし、それが正統派候補の政策では解決されそうにない。じゃあ、せめてぶっ壊してやれ、という気持ちもありそうだ。

 

では、何が我慢できないのかが問題だが、人によって異なるようだ。ある人はロシアに主導権を握られている外交(特に中東)。また、ある人は高騰する高等教育費用。そして、雇用の海外流出や銃規制。しかし、これらは普通の問題であり、我慢できなくなるには、背景に社会的な閉塞感があるに違いない。頑張っても、頑張っても、良くならない日々の暮らし。みんなが問題だと分かっているのに、(既得権者に邪魔されて)改善されない身近な社会問題。要するに、格差が固定化された社会。

 

段々、話が“日本死ねブログ”から離れているようだが、そうではない。僕は、このブログは、ファーガソンの暴動と同じではないかと思う。もちろん、暴動の暴力とは異なり、このブログは読み手を惹きつける極めて知的な作品だ。言葉遣いが批判の的になっているが、ツー・ビートのギャグも、当時は「交通法規を守るべき」との的外れな批判を浴びていた。“芸術”というのは言い過ぎかもしれないが、この言葉遣いだからこそ、伝わってくる強烈なメッセージがある。「これは詩人の作品ではないか」と思ったくらいだ。

 

日本にも閉塞感がある。アベノミクスと安倍外交で、多少天井が上がって息が吸いやすくなった気がするが、時間稼ぎ的な面も多く、根本的な改革はこれからだ。特に少子化は、積み残し問題の象徴だと思う。省庁の垣根争いだとか、予算不足だとか、担当大臣がころころ変わるとか、やる気があれば回避可能な問題で滞っている。政治家の責任が大きい。

 

何年も前から、みんな、少子化が相当危ない問題だと分かってるのに、遅々として社会制度の改善が進まない。日本国民は米国人のように暴動は起こさないが、だからといって甘く見ていると、選挙では“賭け”に出る。

 

しかし、昨秋、安倍政権は幸いにも新三本の矢で、少子化問題の将来目標・将来像を掲げた。将来像を掲げたということは、それを現在に逆算した姿と現状を比較し、差異を分析して具体的な対策を立てやすくなったということのはずだ。このブログの作者は保育園に落選した。それをきっかけに、政治家や官僚より一足先に正確に分析したようだ。その結果が強烈な怒り、「日本死ね」というわけだ。

 

これを減損会計に例えれば、「将来キャッシュフローを現在価値に割り引いて使用価値を算出したら、全然簿価が高すぎる。しかも、みんなそれを分かっている。それなら減損しろよ。」ということではないか。

 

最近メディアでは、消費税増税の再延期や追加の財政支出までが検討されていると報じられている。僕は、消費税増税再延期は当然と思うが、財政支出は内容次第だ。ダブル選挙などとも言われているが、少子化問題を軽く、甘くみるなら、有権者は甘くはないと思う。僕は、与党の減損に一票を投じるつもりだ。

 

 

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