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2018年11月21日 (水曜日)

602【番外編】ゴーン氏、いきなり逮捕!〜正義のコスト

 

2018/11/21

大変なことである。経営危機から日産自動車を救ったカルロス・ゴーン氏が、金融商品取引法違反の容疑で、19日、いきなり逮捕・身柄を拘束された。その主な理由が、従来比較的軽く見られていた金商法の企業情報開示(取締役報酬の開示)違反というのも凄い。これは良い兆候なのだろうか。

 

経営者不正というものは、白か黒か世間の関心を集めながらジワジワ調査・捜査が進み、数ヶ月、いや数年後に事情聴取・逮捕に至るものだと、僕は思っていた。その間株価は低迷し、取引先は距離を取り始め、従業員の士気も下がっていく。会社ののれん、ブランドが毀損していくのだ。東芝もオリンパスも、古くはカネボウや西武鉄道など多くの会社がそうだったと思う。先人達が築き上げた企業価値が失われていく。企業は正しく活動している限り社会の財産だが、不正を始めれば凶器になる。したがって、正義が行われる必要はあるが、不正を正すその代償はあまりに大きかった。

 

 

日産はこれからどうなるだろう。

 

ゴーン氏があっさり逮捕されたので、白か黒かで悶々とネガティブな世間の視線に晒される期間は、”短縮”というより”省略”された。これは大きい。先のことは分からないが、恐らく、今後速やかに再発防止策が練られるので、その結果、世間の関心はすぐ前向きな方向へ向かいそうな気がする。となると、ブランド価値の毀損は最低限で済むかもしれない。今回の正義のコストは比較的に安く済むかもしれない。それなら素晴らしいことだ。

 

 

だが、なぜ今回だけそうなのか? 即ち、なぜいきなり逮捕できたのか。そして、今後の経営者不正はみなこうなるのか?

 

報道から判断するに、今年の6月から日本に導入されたという司法取引制度の影響が大きそうだ。内部告発をきっかけに数ヶ月内定捜査が行われ、しかも、法律知識のある高位者から司法取引による証拠も得られたようだ。違法行為実行者の協力があったのだから、その証拠は強力だろう。それゆえ、東京地検はカリスマ経営者を逮捕するに足る十分な証拠が得られ、いきなりの身柄拘束に踏み切ることができたのではないか。もちろん、「逮捕=100%黒」ではないが、日産の対応は早かった。

 

注目すべきは日産社長の西川広人氏だ。西川氏は、直ちに記者会見を開いて速やかに事実を公表し、世間が白黒に関して悶々としないよう、ゴーン氏を庇うことなく解任する方針を示した。その効果として、日産としてはブランド毀損を最小限に抑えることが期待できる。「西川氏は予め準備していたのか?」と思わせるほどだった。

 

日本経済にとっても正義のコストは低い方が良い。

 

そしてもう一つ、このような司法取引を利用した内部告発の鮮やかな成功例によって、今後、内部告発者が感じる心理的な壁を低める効果もありそうだ。この点は重要だ。なぜなら、経営者不正等に関する内部告発が行われやすくなり、かつ、成功しやすくなるのだから。それは経営者に対する強い牽制になるだろう。これからは、経営者は社内外の専門家の忠告を無視して違法行為を行えば、いきなり逮捕されることになりかねない。仮に違法行為に及んでも、従来より早いタイミングで、ダメージの少ないうちに中止させられる確率が上がる。そうなれば日本経済全体としても正義のコストは低下する。

 

 

ということで、僕は今回の事件を前向きに評価したいと思っている。企業の内部統制機能・ガバナンスに活力を与える効果に期待したい。

 

ところで、監査人はこの件に関わったのだろうか。積極的な貢献をしたとしても秘守義務があるのでニュースにはなりにくいが、気になるところだ。

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