603【番外編】加熱式たばこ
2018/12/25
最近「平成最後の…」というフレーズをよく聞くが、一昨日はまさに平成最後の天皇誕生日だった。みなさんは天皇陛下の会見もあって、時の移り変わりを感じるとる機会となったかもしれない。僕の場合は、その前の金曜日(21日)に体験した加熱式たばこがきっかけだった。世の中は変わるのだ。それは当たり前だが、時々、強く感じる。
金曜日、行きつけの喫茶店に行くと、お姉さんが「いつもの感じ?」といつものように聞いてきた。僕は大体そこで3時間過ごす。その間、ケーキセットとコーヒーのお代わり、トーストセットを1時間おきにいただく。「いつもの感じ」とはそのことを指し、「それでお願いします」と頼むと、一々注文しなくても、お姉さんがその流れで出してくれる。その間、僕はたばこを3本ほど吸う。
この日は、「最近寒いので、たばこを吸いに外へ出るのが億劫。で、加熱式たばこに興味がある」と話した。するとお姉さんは「私、3種類とも持ってるから、試しに吸ってみて」と、現在日本で販売されている加熱式たばこのIQOS、glo、Ploom TECHを次々と吸わせてくれた*1。親切な人で有無をいわせない。
おかげで、店に入った時には「興味がある」だけだったのに、3時間後にはすっかり加熱式へ切り替える気になっていた。煙はほとんど出ないし全然臭わないし、何より、その日はたばこを1本も吸わずにいられた。そういう知識はあったが、実際に体験すると強烈に後押しされるものだ。その足でいつものたばこ屋へ向かい、Ploom TECHを買った*2。
その後は、カートン買いした残りのたばこから10本ほどと、Ploom TECH1カプセル(たばこ5本分に相当するらしい)を吸う日々となっている*3。
しかし、Ploom TECHは全くたばこらしくない。例えば、食後の満腹感・幸福感を増幅させる効果はない。単なるニコチン吸入器だ。恐らく、麻雀のテンパイ時に吸っても気分は高揚しないだろう。ポジティブな感覚をより高めるたばこの効果がない。それが物足りなさを感じさせる。
確かに、Ploom TECHを吸えばたばこに対する渇望感(=ニコチン不足感)は抑制される。だが、Ploom TECHはまるでニコチン中毒の治療器具のようで、自分が病人だと意識させられる。音痴な人に音痴を指摘すれば気分を害するのと同じで、自分の弱点に意識を向けさせられるのは気分が悪い。
そうか、たばこは僕の弱点か。吸い始めた時(昭和)は、かっこいいと思っていたのだが。
思い返せば、平成になった頃はまだみんながたばこを吸っていて、職場でも各人の机の上に灰皿が置かれていた。東海道線などローカル線の電車のシートにも灰皿が備わっていた。歩きたばこも当然で、吸い終わるとポイっと前に投げて、歩きながら火を踏み消していた。そして、吸い殻を拾うこともしない。今では考えられないマナーの悪さだ。でも当時は、僕だけでなく多くの人がそうしていた。
それだけじゃない。その頃はたばこの健康への悪影響を意識することはなかった。精々、カラオケで高音を響かせようと数時間禁煙する程度だ。今は痰がからむのがたばこのせいではないかと、カラオケに行かない時も喉の具合を気にかけている。
平成の間に、たばこに関する世の中の意識は大きく変わり、僕の体も無理は無理とはっきり主張するようになった。
まあ、体のことはさておき、日本は平成の間に随分大きく変化したのかもしれない。特にマナーを含む意識面の成長にはもっと目を向けて良いのかもしれない。もちろん、たばこの話をどこまで広げて良いか、いろいろ意見があると思うが、少なくともたばこに関しては凄い。他のことでも変化があるはずだ。
例えば、中国人観光客のマナーが悪いというが、昭和の日本人も同じような感じだった。ところが今は随分スマートだ。昭和の頃の海外旅行は、せっかく来たのだから見られるものは全部見ようと、みんなでゾロゾロ移動した。今は各々の趣味や好みで個別に動くから、側からはスマートに見える。昭和の頃は、集団行動が日本人の特性のように思われていたが、実は、そうではなかった。
日本人が治ったのだから、中国人もそのうち治るだろう(すでに中国人旅行者も良い方向へ変化しつつあるらしい)。願わくば、他の問題でもそうなってほしい。後から振り返って、時代が変わったなあ、成長したな、と思えるように。例えば、知的財産の泥棒行為はたばこのポイ捨て以上の悪行だと理解して早く直して欲しい。まさか、泥棒が中国人の変えられない性分ということはないはずだ。
中国ときたから、米国にも目を向けてみよう。
米国は大統領の性格とマナーが悪い。が、これは属人的なものなので、治らないだろう。それより、その大統領の支持層に起こる変化こそ注目すべきと思うが、果たして、マティス国防長官が辞表で指摘したような同盟国への敬意・同盟国との連帯が復活する流れになるかどうか。長い目で見ればなると思うが、願わくば亀裂が修復容易なうちに現在の軌道を変えて欲しい。『アメリカ・ファースト』などというスローガンが心に刺さってしまうような状況に置かれた低学歴の白人層は、どのような刺激があれば、海外の仲間との連帯に目が向くようになるだろう。
すでに色々と報道されているように、米国政府高官が次々と辞職・失職している。今朝は、米国株式相場の下落に関連して、財務長官のムニューシン氏やFRB議長のパウエル氏の更迭をトランプ氏が検討したという報道もあった。良いことは自分の手柄にし、悪いことは他人のせいにする。仲間を信じないし尊敬もしない。常軌を逸している。
もはや、トランプ氏の性格や考え方を変えることより、トランプ氏の失職を期待した方が合理的だと思う。願わくば、国防長官のマティス氏が辞職(失職?)する1月1日より前に、ペンス副大統領によるクーデターが成功してほしい*4。低学歴の白人層がペンス大統領を支持するきっかけとなるような事件が起こらないだろうか。事件に期待するなんて筋が悪いことはわかっているが。
加熱式たばこで満足感を得られない僕は、少々イラついて過激なことを書いている。しかし、世の中は変わっていくし、何がどう変わるか予想するのは困難だ。だからこそ、逆に希望もある。というわけで今年の年末は、中国や米国が変化し来年は株が反転上昇すると、薄い、流れ星のようにすぐ消えてしまう加熱式たばこの煙に願いをかけながら、過ごすことになりそうだ。
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*1 3つの加熱式たばこの吸い心地について
関心のある方もいらっしゃると思うので、少し書いておこうと思う。
すでにネットに多くの記事が出ていて僕の感想もそれと同じだが、“たばこ”としての満足感は、次の通りだと思う。
IQOS > glo > Ploom TECH
それでもPloom TECHにした理由は、一番喉に負担がなさそうに思えたからだ。
*2 何かのキャンペーン中なのか、定価3000円のスターターキットが2個入り3000円で売っていた。
*3 最近は1日1箱(19本)ペースだった。Ploom TECHを吸うようになって1日15本ぐらいに減少しているが、Ploom TECHは喫煙の中断・再開が自由なので、ニコチン吸入量に過不足がなく、効率的なのかもしれない。
*4 米国大統領が失職するケース
メディアでは、ロシア疑惑に関連して議会による大統領弾劾手続が話題になることが多い。しかし、現在はクリスマス休暇で議会は休会中だし、上院は弾劾裁判になるので長引きそうだ。Wikiによれば、精神的な責任能力を失ったような場合を想定した次のような規定もあるそうだ。
『副大統領と閣僚の過半数が申し立て議会両院それぞれで2/3多数による承認議決があれば、大統領による反対申し立てがあった場合でも副大統領が大統領権限を代行する』
議会両院の2/3多数というのは難関だが、トランプ氏の無茶苦茶振りを見ていると、こちらの方が現実味があるように思う。
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