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2019年1月

2019年1月29日 (火曜日)

604【番外編】国家統計

2019/01/29

よく、経営者をパイロット、会計数値をコックピットの計器類に例える。経営者は計器類を見るように会計数値を見て、飛行機を操縦するように企業を経営するわけだ。国家統計は、ちょうどこの会計数値にあたり、政治家や経済アナリストなどは統計値を駆使して国の現状などを把握しようと努める。もし、これが間違っていれば・・・、飛行機なら墜落するかもしれないし、国家経済は崩壊することもある。

 

まあ、ちょっと大袈裟か。例えば、中国経済はまだ崩壊していない。

 

モリカケの公文書偽造もそうだったが、どうも官僚たちは”記録“に対する敬意がないようだ。自己保全を優先し、民主主義の基礎となる国の記録を改ざんしても良いと思っているらしい。これは、粉飾決算する経営者と全く同じ構図・動機だ。

 

官僚だけの問題ではない。それを管理・統括する政治家、現政権の姿勢がまた心もとない。公文書偽造対策もいい加減だったが、今回の「特別監察委員会」の調査もいい加減だ。

 

“第三者の視点”と言いながら、実際には仲間の役人がヒアリングしてたとか、さらには官房長という会社で言えば経営企画室長みたいな経営者の懐刀的な人物まで加わっていたという*1。もう、滅茶苦茶だ。

 

これらのニュースに接して、元監査人の僕が感じることは、調査チームと調査対象とのぐしょぐしょの馴れ合いの構図だ。この“特別監察委員会調査”というのは名称は仰々しいがその実態は厚労省の役人が自ら調査計画を作り、その通りに“有識者”なる人たちが動き、役人の下書きした報告書にサインしたもの、という印象だ(実際の報告書(P4)*2には「ヒアリングの企画及び実施は、外部有識者の参画の下で行われた」と表現されている。やはり計画も報告書も、役人の下書きではないか?)。

 

第三者が計画を作っていれば、厚労省の役人がヒアリング・メンバーになるなどあり得ない。大幹部の官房長が参加するなどもってのほかのはずだ。この大幹部は一体何をしていたのか?

 

或いは、第三者の有識者の先生方は役所の現場をよく知らないので、厚労省の役人が案内したということかもしれない。これはあり得る話だ。だが、その場合に調査対象者に質問することは許されないはずだ。話して良いのは「調査に協力しなさい」という趣旨のことだけだ。大幹部はそのためにいたのか? いや、怪しい。大幹部はいるだけで、調査対象者に無言の圧力をかけられる。ヒアリングの冒頭に「調査に協力しなさい」と発言したら、すぐに部屋を出て行くべきだろう。そうしたのだろうか?*3

 

官僚を管理・統括する政治家が、これらに気づかないとすれば鈍すぎる。気づかない振りをしているとすれば、有権者が問題意識を高める必要がある。政治家は官僚と慣れ合っているかもしれない。

 

そういえば、ゴルフ場利用税を廃止する法案がまとまったようだ*4。驚いたのは、これに合わせて、国家公務員が利害関係者とゴルフをすることを解禁しようとしていることだ。これも下書きは官僚だろう。ますます、馴れ合いの輪が広がっていくのではないか。

 

公文書は偽造する。国家統計は勝手に操作する。利害関係者とゴルフしたがる。そんな国家公務員が消費税を上げようとしている。彼らの言う「国家財政の危機」や「その解決策(増税)」を信じて良いのだろうか。僕は現政権も信じられなくなっている。

 

しかし、まあ、サッカー日本代表がイランに3-0で勝利しアジア杯決勝に進んだので、金曜の決勝まではそちらの夢を見ましょう。大坂なおみさんの全豪オープン決勝のように、また楽しめるに違いない。

 

🍁ー・ー🍁ー・ー🍁ー・ー🍁ー・ー🍁ー・ー🍁ー・ー🍁ー・ー🍁ー・ー

*1 このニュースはみなさんもご存知と思うが以下のような記事がある。

統計不正、異例の調査やり直し 「身内」批判高まり判断 朝日新聞デジタル 1/25

勤労統計の監察委聴取、官房長が同席 官房長官 日経電子版 1/28

 

*2 実際の報告書は、厚労省のホームページに掲示されている。

毎月勤労統計調査を巡る不適切な取扱いに係る 事実関係とその評価等に関する報告書

ざっと中身を見た印象では、やはり役人が作成したレポートっぽい印象だ。国民の疑問を解消して再発防止するためのもの、というより、「悪いことしましたが、事情もあったんです。ご理解ください」みたいな印象だ。調査の方法も具体的な記述はなく、調査対象者・発言者の氏名も明らかでない。問題となった事実が並べられているが、そうなった理由は書いてない。

 

例えば、「東京都の規模500人以上の事業所について抽出調査にすることについて、調査計 画の変更等の適切な手続を踏むことなく、担当課のみの判断として調査方法を変更したこと は、不適切な対応であったと言わざるを得ない。」と書いてあるが(P15)、なぜ、適切な手続きを踏まなかったのか、それは誰の判断か、についてはうやむやである。

 

また、「東京都における抽出調査の実施に伴い必要であった復元処理が 実施されなかったこと」については、3つの問題が記載されている。そのうち2つは次の通りだ。

 

一つは、抽出調査方法の変更に関しては雇用統計部署からシステム担当部署へ文書による指示があったが、それを具体的なプログラムにするシステム仕様書レベルのところは口頭だったらしい(仕様書レベルのことが明記されていない)。もう一つは、COBOLというプログラム言語を使っていたが、そのプログラマーは2名しかおらず、忙しくて相互チェックによる業務の漏れを防止できる体制ではなかったとされている。

 

この2つが意味するのは、システム部には典型的な無管理状態が発生していたということだ。このシステム部門の管理者(及びその上司)には明らかな責任があるが、その氏名は記載されていない。さらに怖いのは、このシステム部は他にも問題を起こしている確率が相当高いと思われることだ。それぐらい、この無管理状態は症状が重いと想像される。(今は大丈夫なのか?)

 

一応、言葉では厚労省を糾弾しつつ、当事者の処分は内部でゆっくり決めていいよ、みたいな雰囲気がプンプン臭うのは僕だけだろうか。

 

*3 残念ながら、そういう常識をこの官房長は持ち合わせていなかったらしい。

聞き取り調査、厚労官房長が同席…証言に影響も YOMIURI ONLINE 1/28

定塚由美子官房長が同席し、質問もしていたことが分かった」とのこと。

 

*4 単にゴルフ場利用税を廃止するだけじゃないようだ。

ゴルフ場利用税 廃止へ 法案骨子まとまる NHK NEWS WEB 1/28

なぜか、「また、国家公務員が利害関係者とゴルフをすることを禁止している「国家公務員倫理規程」についても、自分の費用を負担すれば認められるよう改正すべきだとしています。」ということになっている。

 

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