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2019年3月15日 (金曜日)

606【番外編】マイナンバー通知カード廃止!?

2019/3/15

みなさん、“マイナンバー”って覚えてますか?

 

政府はICカードに“マイナンバー”を記載した“マイナンバーカード”を普及させるために、その“通知カード”を廃止するつもりらしい。また、本末転倒の、上から目線の、官僚発想の施作を実行しようとしている。さて、政治家がこれに気づいて進路変更できるか。

 

 

マイナンバーは、政府が住民(国民と居住する外国人)との徴税や行政サービス提供の確実性・効率性を高めるために導入した個人番号で、2016年から利用が始まっている。2015年10月から“通知カード”によってみなさんにも個人個人に付番された番号が届けられている。

 

本来は、“通知カード”と交付申請書で“マイナンバーカード”を住民に申請してもらい、一人一人に“マイナンバーカード”を交付したいのだが、あれから4年経って交付率は12%程度だという。即ち、“マイナンバーカード”が普及してないのだ。

 

普及しないのは、必要がないからだ。或いは、あった方が良いと思えないからだ。要するに官僚が行なった“マイナンバーカード”の制度設計、“マイナンバーカード”を利用した行政サービスの改善に問題があったということのように思われる。

 

 

実際、“マイナンバーカード”などなくても困らない。どうしても“マイナンバーカード”が必要な場合は、“通知カード”+免許証などの身元確認書類で代替可能だ。僕の場合は運転免許を更新した時に、“通知カード”と免許証を一枚にコピーしたもの(=実質的にマイナンバーカードとして機能するB5版の紙)を10枚ぐらい作成した。これで十分だ。これで5年使える(免許はゴールド🌟)。

 

ただ、インターネット経由による公的書類の申請など、“マイナンバーカード”をもっと積極的に利用することもできる。ちょっと面倒だが…。

 

それには“マイナンバーカード”を申請するのとは別に「署名用電子証明書」、「利用者証明用電子証明書」の申込みを役所の窓口で行う必要がある。加えて、iPhoneのようにNFC機能に対応しないスマホをお持ちの方は「ICカードリーダライタ」を購入しなければならない(NFC機能のあるスマホは「ICカードリーダライタ」の代わりになるそうだ)。例えば、インターネット上で納税申告を行う際は、インターネットに繋がったPCに「ICカードリーダライタ」をセットし、それへ電子証明書が格納された“マイナンバーカード”を読み込ませることになる*2。どうも、Windows10ではEdgeはダメでInternet Explorerを使ってくれ、ということもあるらしい*3

 

ん〜、さらに最新のドライバをインストールせよ、なんて記載もあるが*4、“ドライバ”にアレルギーやトラウマをお持ちの方も多いのではないか。利用者に対しかなり威圧的な感じだ。腕に自信のない方は、この辺を読むだけで諦めてしまうだろう。

 

 

ところで冒頭に記載したように、政府は、“通知カード”の廃止を目論んでいるらしい*1。その目的は“マイナンバーカードの普及”で、その法案は今月中(2019/3)に国会へ提出されるとのこと。なんと手際の良いことか、但し、目標と手段が合っていれば。

 

残念ながら“通知カード”を廃止しても“マイナンバーカード”が普及するとは思えない。即ち、目標と手段が合っていると思えない。“マイナンバーカード”の普及には、“マイナンバーカード”が便利になることが必要なのであって、やむを得ない時に受身的に使用されるだけの“通知カード”には関係がないと思うからだ。

 

更に言えば、もし“通知カード”の廃止が、「(再発行等の)要請があっても通知カードの追加発行には応じない」だけでなく、「“通知カード”+身元確認書類で“マイナンバーカード”の代わりになる」という使い方の禁止にまで及ぶのであれば、利用者・国民・有権者にとって行政サービスの改悪だ。この点について、日経xTECHの記事*1からでは分からないが、もしそうなら、“通知カード”の代わりになるのは「マイナンバーが記載された住民票等」であり*5、一々、マイナンバーが必要になるたびに役所へその住民票を取りに行かなければならなくなる。

 

例えば、税務申告書にはマイナンバーが必要だが、今なら手元にある「“通知カード”+身元確認書類」のコピーを税務申告書に添付するだけで済む。しかし、これからは事前に市役所へ行ってマイナンバーの記載された住民票を入手しておく手間が生じる*6

 

まあ、最近は時間単位の有給休暇が取れる会社もあるようだが、今の時代に役所に住民票を取るために有給を取るなんて、即ち、官僚の尻拭いのために有給を消化するというのはやるせない。明らかな行政サービスの改悪だ。そして“マイナンバーカード”を取得したり、その他の準備をしないと、利用者に手間を課すというのは、利用者に対する鞭だが、鞭で打たれるべきは、制度設計に失敗した官僚や、その失敗を見逃した4年前の政治家や政府ではないのか。

 

 

では、“通知カード”でないなら何が本質的な問題だろうか。僕は、マイナンバーの本人確認手続の設計に問題があるのだと思う。それが今のように面倒なことがなくなれば、“マイナンバーカード”は、ずっと利用価値が上がるのではないか。

 

マイナンバー(個人番号)は、行政サービスやその他の取引の処理において、特定の個人を表わすものであるため、マイナンバーが行政サービス等に提示されるときに、それが本人によってなされた行為であることを確かめる必要がある。それが、上述したマイナンバーの本人確認手続だ。

 

現在は、上述のように“マイナンバーカード”に記録された個人ごとの「署名用電子証明書」または「利用者証明用電子証明書」、及び、“マイナンバーカード”の保有者が入力する「暗証番号」が、「ICカードリードライタ」やandroidスマホを通じて、行政や企業側のサーバーに届くことで、本人確認を行なっている。

 

しかし、本人確認手続は、“マイナンバー”制度特有の手続ではない。例えば、スマホの指紋認証や顔認証も本人確認手続だ。スマホは、悪意を持った人(例えばスマホを盗んだ人)が操作して、銀行口座から預金を引き出したり、ネットショップで多額の買い物をしたりするのを防ぐため、(完璧ではないが)精度の高い認証機能を持っている。それに、操作は簡単だ。指紋認証も顔認証も、時々認証手続していることを忘れてしまうほど、すっと済んでしまう。

 

なのに、“マイナンバーカード”の認証手続(本人確認手続)は、なんて面倒なのか。操作だけでなく、ドライバがどうだとか、「ICカードリーダライタ」が必要とか、準備や(アレルギーやトラウマを乗り越える)心構えも必要だ。

 

どうだろう、いっそのこと、“マイナンバーカード”の認証手続(本人確認手続)をスマホの認証手続で済ませてしまえば良いのではないか。

 

どういうことかというと、“マイナンバーカード”アプリをスマホにインストールし、そのアプリにマイナンバー(や「署名用電子証明書」・「利用者証明用電子証明書」)を登録しておく。そしてマイナンバーが必要になったらそのアプリを起動し、Wクリック(しながら顔認証)や指紋認証するイメージだ。ちょうどコンビニなどでスマホ決済するように。

 

確かにスマホの認証は完璧ではなく、例えば、iPhoneの顔認証は、メーカーの自己申告で百万人のうちに一人ぐらいは本人と間違えて認証してしまう可能性があるという*7。しかし、現在行われている本人確認だって、完璧ではないはずだ。それに比べて精度が劣るとは言えないだろう。例えば運転免許証の写真やそのコピーで、完璧に個人を確かめられるだろうか?

 

テクノロジーの進歩を利用できるようにしておくと良いと思う。“マイナンバーカード”制度が特定の技術に依存してしまうと、テクノロジーの進歩があった時に置いてきぼりを食うことになる。今、正にそうなりつつある。“マイナンバーカード”が普及しない本当の理由をちゃんと分析して欲しい。そして、正しい目標と手段を選択して、官僚が予算を無駄使いしないようコントロールを政治家に期待したい。

 

えっ、期待できるかって? じゃあ希望する。いや、お願いする。少なくともお祈りはする。そして、(関係ないけど消費税率を上げるなら)参院選で与党に投票しない。

 

🍁ー・ー🍁ー・ー🍁ー・ー🍁ー・ー🍁ー・ー🍁ー・ー🍁ー・ー🍁ー・ー

*1 先月の記事だが以下をご覧いただきたい。

 

政府、マイナンバー制度の「通知カード」廃止を検討 日経xTECH 2/20

 

*2 この段落に記載したことは、下記から始まる公的個人認証サービス ポータルサイトの各ページに記載されている。

 

事前の準備

 

*3 公的個人認証サービス ポータルサイトの以下の場所に記載されている。

 

認証局からの重要なお知らせ

 

*4 公的個人認証サービス ポータルサイトの以下の場所に記載されている。

 

ICカードリーダライタのご用意

 

*5 総務省の以下のホームページの下の方に記載がある。

 

マイナンバー制度

 

*6 最近はコンビニで住民票の発行が可能だが、静岡市の場合、その住民票にはマイナンバーが記載されない。また、コンビニで発行するためには“マイナンバーカード”が必要。

 

証明書コンビニ交付サービスのご案内

 

*7 あちこちにこの情報はあるが、例えば以下のページの下から2段落目。

 

iPhone Xの「Face ID」は使いやすい? 「Touch ID」と比べて分かったこと

ITmedia Mobile 2017/11/9

 

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