« 608【番外編】平成の歌はスガシカオ『Progress』〜平成を象徴する会計基準は減損会計 | トップページ

2019年5月12日 (日曜日)

609【番外編】平成の歌はスガシカオ『Progress』〜減損会計の歌『Progress』

2019/5/12

前回の記事(608-5/7)を読まれた方は、減損会計の目的や導入の背景、概要を理解できたと思う(あくまで僕が理解しているいい加減な解釈だが)。そして、前々回の記事(607-5/5)も読まれた方は、減損会計と『Progress』がどう関わるのか、その接点もご存知だ。

 

今回は『Progress』と減損会計の具体的なつながりを説明する番だが、「そんなのこじつけでしょ」「もういいよ、十分だよ」と呆れられている方も少なくないだろう。でも本当に今回こそ熱く語りたいところだ。減損会計を前向きに捉え、正確に理解する核となる概念が、『Progress』で説明されている(と僕は思う)。

 

まず、新しいタブで下記のリンクを開いて、この記事を読みながら時々参照してほしい。リンク先のページの一番下には『Progress』の歌詞の1番と2番が横に並べて書いてある。理解するにはこの配置が良い。

 

NHKの『プロフェッショナル 仕事の流儀』の紹介ページ

 

『Progress』のメロディーは、AaBbCのパターン。Aの部分が歌詞の3行目まで、その後Aの繰り返しaが6行目まで、Bとbまでがサビ、最後にCのメロディーで1番が終わる。2番も同様。さらに最後にサビのBbとCが繰り返される。

 

Aaの部分は、1番も2番も自己分析。1番は過去と現在の自分の共通短所の洗い出す現状分析、2番は大きな目標に向かって自ら問題解決しようとする夢、計画の分析。サビのBbの部分では1番は“ジブン”、2番は“ミライ”を定義。Cの部分は1番も2番も同じ・共通で“あと一歩だけ、前に進もう”とアクションを促す内容となっている。

 

さて、いよいよ減損会計との関わりだ。

 

僕は、1番のAaBbは、今の自分、即ち、実績の捉え方・現状認識の方法を示していると思う。そして、2番のAaBbは、自分の夢や目標、即ち、事業計画の立案・変更の方法を示していると思う。ここまでで、いわゆるPDCAサイクルの“PDC”まで。そして1番も2番もCの部分で、PDCAの“A”の部分、アクションを促している。この結果として、“あと一歩だけ、前に進もう”が、とても重要なメッセージとして響いてくる。

 

これは、まさに減損会計のプロセスではないか。そして減損会計に欠かせない要素である、謙虚な自己分析(虚栄なしの業績把握)と、目標・事業計画の具体的な指針を、次の一歩のために、目的思考的に表している。

 

抽象的すぎるので、以下、逐条解説で行こう。

 

Aのエピソード〜「横一列でスタートし、あいつがつまずく」

 

ちょっと横道にそれるが、ここがこの曲の唯一の弱点だ。この“横一列でスタート”エピソードには新卒一括採用のイメージがあり、今の流れでは令和時代に陳腐化する可能性がある。いずれ歌詞が理解されづらくなると思うと残念だ。しかし、“平成を代表する歌”という意味では、これでも良いのかもしれない。それに生まれた時を“横一列のスタート”と解釈することもできよう。それであれば、この歌の普遍性は失われない。いきなり横道で済みません。

 

さて本筋に戻そう。このエピソードは、競争相手の失敗を喜ぶことの愚かさを表していると思う。皆さんには経験がないだろうか。新人研修の時にはドジでみんなに笑われていたやつが、1年後のフォローアップ研修の時、或いは数年後一緒に仕事をした時には大きく成長していて驚いたことを。

 

新人の頃など若い時代の失敗は、多くの場合貴重な教訓をもたらしてくれる。むしろ、失敗が多い方が成長が早いといっても良いかもしれない。

 

企業にとって競争は宿命で、競争相手がつまずいて出遅れれば、その分自分に需要が転がり込んでくるからシメシメと思うのは当たり前だ。しかし、一歩間違えると愚かになる。そう、油断だ。そんなことをしていれば、相手はもっと強くなって立ち上がってくる。喜んでる暇があったら、もっと先へ進んでおかなければ。

 

aのエピソード〜「相変わらず ダメなぼく

 

一列にスタートした時、“ぼく”は、愚かだった。エピソードAではそう言っているが、さらにエピソードaの最後に、“相変わらず あの日のダメな ぼく”と言っている。残念ながら、スタート時の愚かさは今も変わらないというのが、この歌の自己分析・現状分析の結論だ。

 

その根拠として、“誰かを許せたり”、“大切な人を守れたり”が、“サマになっていやしない”を挙げている。しかし、エピソードAの愚かさとはだいぶ次元が違うように感じるのは僕だけだろうか。

 

他人の失敗を期待するのは単に卑しい性根で、自分は何の努力もしていない。だが、他人を許せなかったり大切な人を守れなかったのは、精一杯戦っていて余裕のないときに犯しがちなミスだ。ミスは大いに反省すれば良いが、性根が腐っていればその反省も起こらない。

 

aの最後に“相変わらず あの日のダメな ぼく”とあるが、欠点の質はだいぶ改善していると僕は思う。着実に“あの日”より進歩しているのだ。ただ、彼はもっと進歩したいので問題点を挙げて改善しようとしている。謙虚に自己分析しているわけだ。

 

この姿勢は減損会計で事業の実績を捉える際に重要だ。甘く実績を計算・集計すれば問題点は隠れてしまうから改善もされない。謙虚に厳しい自己統制が必要なのだ。それが次のサビBbで念押しされる。

 

Bbの“ジブン”の定義〜「ぼくが歩いてきた 日々と道のりが“ジブン”

 

この詩は重い。ズシンと心に響く。前半のBが頭の中で想像している“理想の自分”で、それを漫画にすれば吹き出しの中に浮いて描かれる自分、それは宙に浮く軽さがある。だから余計に後半のbが重く感じられる。

 

bは実際の行いの積み重ねであり、そこには良いものだけでなく悪いものも含まれているだろう。それを“ほんとうのジブン”と言っている。誤魔化しようがないのである。“歩いてきた日々と道のり”は、単なる事実の積重ねだから、そこに嘘は入りようがない。勝手に変えられない。

 

この“ジブン”こそは、減損会計でいう実績だ。理想とは違っていても、事実ならそれを実績として受け入れる必要がある。現実は厳しいのだ。減損損失が発生していれば計上する必要がある。だからこそ、次のCが活きてくる。

 

Cのアクション〜「あと一歩だけ、前に 進もう」

 

Cの前半は、世の中がため息と挫折だらけの厳しいところであるように書いている。まあ、実際には楽しいことも一杯あるのだが、この歌は違う。なぜなら、この歌は最も厳しい極限状況で“プロ”と呼ばれる人がどうするかをテーマにしてるからだ。どんなに辛く苦しくても前進せよ、というのがこの部分のメッセージだ。

 

減損損失の発生を認めるのは辛いことだろう。しかし、その企業が歩いてきた日々と道のり、即ち、その実績が投資意思決定や事業運営の実態を示しているのだから、受け入れるしかない。

 

ミスを受け入れず曇ったメガネで事業を見ていれば、適切な改善策は見つけられない。だが、あるがままの実績を認識できる厳しさと謙虚さがあれば、その改善策を見つけるのは比較的容易い。時間を無駄にするな、現実を受け入れ、逆転・追撃の一歩を歩み出せ、まず一歩から。

 

以上が1番だ。大分ぶっ飛んだ解釈かもしれないが、この実績(=“ジブン”)に対する真摯な姿勢と成功を追い求めて最悪な時でも諦めずに前進するプロフェッションの姿が、減損会計と妙に重なってくるのを感じてもらえただろうか。

 

2番は実績のところが計画(=“ミライ”)に変わるが、基本的には1番と同じだ。もう飽きた方が多いと思うので、2番はなるべく簡単に記載したい。

 

Aaは事業計画の説明〜“世の中の悲劇・問題点を解決して夢に手を伸ばす”

 

Aは、非常に大きな夢に向かって事業をしている様子が描かれているように思う。特に“届かないその手を伸ばす”なんて表現に感じられる。

 

一方、aは世の問題点を描いていると思う。“ガラスケースに飾られた悲しみ”を傍観するのは“キライ!”で、自分で、この事業計画によって解決しようとしているのだと思う。素晴らしい事業だろうことが想像される。

 

Bbは事業計画の要件〜「誰も知らない世界へ向かっていく勇気」

 

Bでは、「事業計画はオリジナルなもので、誰かの真似っこじゃない」と言っているようだ。故に、bでは新しいものを生み出せ、技術革新へ向かえ、チャレンジせよ、といっているように思える。

 

Cは1番と同じだが…

 

ここまで2番を読んできて、この事業が相当凄そうに響いてくる。だからこそだろう、Cは1番と全く同じ歌詞だが、そこに出てくるため息と挫折は、事業計画の目標が凄すぎて容易に達成できないために生じているように感じる。1番は実績(=“ジブン”)に対する真摯な姿勢によるため息と挫折だったが。

 

目標が高くて実績が追いつかない場合、目標を下げるのが常識と思うが、この2番を何度読んでもそういう気がして来ない。ただ、高い目標を維持しつつも、そこへ至る具体的な道筋について色々思考しているのではないかという気はする。

 

そう思わせるのは、Bbのイノベーションを求める歌詞と、Cの最後の“あと一歩だけ”という部分があるためだ。Cでは、“あと一歩だけ”と言っているのであって、“目標まで届かせろ”とは言ってない。Bbは、目標に至る道は色々あるよ、自分のやり方・色を出せ、とチャレンジする勇気を求めている。

 

目標を変えずに、目標に至る道筋、事業計画のみを変更することは可能だ。ただ、将来キャッシュフローの見積もりが変わってくるから、減損損失が発生する可能性が高まる。それを恐れていては目標に近づけない、達成はできない。あと一歩だけ進もう、まず一歩踏み出せばまたその先が見えてくるに違いない。

 

最後

 

この2番の後に、1番と2番のサビの部分(=1番と2番のBb)とCが繰り返される。実績を真摯に受け止め、事業計画を見直せ(必要なら減損損失を計上せよ)、そして一歩踏み出せ、ということじゃないだろうか。

 

まあ、無理矢理減損会計にこじ付けてる感じがするかもしれない。でも、“プロフェッショナル”がこの曲のテーマで、その自分に厳しく夢を追う感じが、減損会計の僕のイメージに合っているのだ。多くの人は賛成しないだろうが…。

 

 

« 608【番外編】平成の歌はスガシカオ『Progress』〜平成を象徴する会計基準は減損会計 | トップページ

番外編」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 608【番外編】平成の歌はスガシカオ『Progress』〜平成を象徴する会計基準は減損会計 | トップページ

2019年10月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
無料ブログはココログ