(C07)無形資産
2014/9/11
無形資産は、企業価値を考えるうえで重要性が増しているにもかかわらず、財務報告での扱いが乏しいという研究結果が、1993年~1994年に報告されています。それは、財務会計方針委員会(FAPC)による1993年の意見書、米国公認会計士協会(AICPA)特別委員会の1994年の報告(いわゆるジェンキンス・レポート)です。これらがきっかけとなって、知財の評価を積極的に行ったり、包括的な企業と社会のコミュニケーションの方法(統合報告)が検討されたりと、会計分野に留まらない新しい潮流が作り出されています。
無形資産は、すでにB/Sに計上されているもののほかに、その企業の伝統、ブランド、経営者やリーダーの資質、地域との関わり、伝承される技術等、企業が生み出す価値の源泉として社会活動に影響を与えると一般に理解されているものがあり、それについて会計では、自己創設のれんと呼ばれ、資産計上が原則禁止されています。しかし、上記の影響を受けて、その原則が揺れています。
例えば、企業買収において「のれん」を計上しないプーリング法は廃止されました。
また、研究開発費は、IFRS第3号「企業結合」を開発するにあたって、一部を資産計上することとしました。その結果、社内研究プロジェクトや他社の研究を購入するケースと会計処理に齟齬が生じています。これからまだ動く可能性がある分野です。(日本基準でも、平成20年の企業結合会計基準の改正以降同様です。)
企業の価値を考えるためにとても重要な分野であるとともに、会計上は、資産と費用の境界を引きなおすことになるので、大変興味深い分野です。もしかしたら、それに留まらない企業会計の根本に係る重大問題かもしれません。
(のれんの償却・非償却)
2012年時点のIFRSの規定に基づいて、IFRSでものれんを償却するが如く毎期概ね定額の減損損失を計上できる方法がないか、調べてみました。結論は「できない」という残念な結果になりましたが、のれんとは何ぞやから掘り起した一連のプロセスを記録しています。下記のページをご覧ください。
2013年7月に公表された概念フレームワークのディスカッション・ペーパーに触発されて書いた記事です。「自己創設無形資産をもし資産計上するなら、どうする?」がテーマです。
329.《号外》政府がのれん不償却をASBJへ要請!? 2014/1/27
330.《号外の続報》のれんに頼れないアベノミクス 2014/1/28
341.DP-CF31)会計上の不確実性~自己創設の「のれん、無形資産」 2014/2/25
342.DP-CF32)会計上の不確実性~FacebookのWhatsApp買収 2014/2/27
343.企業会計基準委員会(1/27、2/7)、クリミア半島(余談) 2014/3/3
344.DP-CF33)会計上の不確実性~立ち上る黒雲 2014/3/5
345.DP-CF34)公正価値~市場参加者目線の経営への役立ち 2014/3/7
346.DP-CF35)公正価値~“最有効使用”の仮定(非金融資産) 2014/3/11
347.DP-CF36)公正価値~最有効使用と不確実性 2014/3/13
349.DP-CF37)公正価値~秩序ある取引 2014/3/18
350.DP-CF38)公正価値~公正価値の定義と評価技法 2014/3/20
351.DP-CF39)公正価値:一般より有利な契約等~ブラック企業は資産が増える? 2014/3/25
352.DP-CF40)公正価値:売却可能なノウハウや研究、データ~STAP細胞研究の測定(1) 2014/3/28
353.DP-CF41)公正価値:売却可能なノウハウや研究、データ~STAP細胞研究の測定(2)理研の最終報告書を受けて 2014/4/3
354.DP-CF42)公正価値:売却可能なノウハウや研究、データ~STAP細胞研究の測定(3)測定の対象となる収入 2014/4/4
357.DP-CF43)公正価値:売却可能なノウハウや研究、データ~STAP細胞研究の測定(4)公正価値の推移 2014/4/15
358.CF-DP44)会計上の不確実性~まとめ 2014/4/22
372.CF-DP55)純損益とOCI~一時的な再測定“再評価モデルの評価益” 2014/6/24
379.IFRSへ のれん償却再導入? ~ASBJらが意見書公表 2014/7/28
381.修正国際基準(JMIS)の公開草案~概要 2014/8/1
382.修正国際基準(JMIS)の公開草案~のれんの償却 2014/8/4
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